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トマトから出る色の正体は

質問者:   一般   千葉透
登録番号4163   登録日:2018-07-11
水酸化カルシウムなどを入れた水(アルカリの強い水)にトマトを浸すと、水が黄色くなります。
これはトマトに含まれるリコピンが出てきたのかと思ってましたが、ネットで調べるとリコピンは水に溶けず油に溶けると書いてありました。
水が黄色くなる理由は何が原因、もしくはどういった仕組みなのでしょうか。また、リコピン以外の色素が出ているのでしょうか。
よろしくお願いします。
千葉透 さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご指摘の通りリコピンは脂溶性でアルカリ性には比較的安定ですので、トマトを水酸化カルシウム水溶液に浸漬しても溶け出すことはないはずです。トマトを含む植物組織にはたくさんの代謝産物(一次代謝物、二次代謝物、数千種類とも言われています)があり不溶性物質、水溶性物質、脂溶性物質などと大別することが出来ます。
1)リコピン以外の色素が出ているのでしょうか: 処理の条件がはっきりしませんが、水溶性物質の大部分が水酸化カルシウム液に溶け出すと思われます。
2)水が黄色くなる理由は何が原因、もしくはどういった仕組みなのか: 溶出する成分は数百種類以上あると考えるべきで、アミノ酸類、糖類、有機酸類、フェノール物質(カテキン、カフェー酸とその関連物質、フラボノイドなど)、アルカロイドなどの混合物です。この条件ではどんな反応がおきるのか推定出来ませんが、着色反応に限って見れば、A)フェノール性物質の酸化。酸化は酸化酵素による酸化、自動酸化があります。例えばリンゴ、ジャガイモ、バナナの着色。自動酸化はアルカリ性で促進されます。B)アミノ酸と還元糖の反応を出発反応とした極めて複雑な反応(ラジカル反応を含みその全容はまだ分かっていない連続反応)を介し、最終的にメラノイジンと称する褐色物質を生成するメイラード反応。2つの過程が考えられます。Bの過程もアルカリ性で促進されます。味噌、醤油から焼き肉、焼き魚、トーストのこげ、長期保存した日本酒の着色などの食品褐色化の主要な反応です。
A、B過程共に最終的には茶褐色物質を生成しますが、関連原因物質が希薄であれば薄黄色、黄色、桃色、黄褐色などに見えます。常温では、メイラード反応は比較的遅く、フェノールの酸化は早いので、ご質問の状態での主要な原因はフェノール物質の酸化ではないかと推定できます。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-07-19
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