一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物が環境に適応できる訳とは?

質問者:   高校生   Cell
登録番号4167   登録日:2018-07-24
何故、植物は環境に適応できるんですか?
植物に、環境に適したカラダになろう!という意思は
あるんでしょうか?
愚問かもしれませんが、教えて下さい。
Cell 様

 みんなのひろばの植物Q&Aを利用下さりありがとうございます。
 岩波の生物学事典をみますと、適応とは「生物のもつ形態や生理的・生態的性質が、その環境のもとでの生活の仕方にうまく合致していること、すなわち合目的的にみて有利にと判断できる状態にあること。」となっています。

 このような適応的な特性はどのようにして生じたかということですが、主として自然選択によると考えられています。ダーウィン(C.Darwin)が150年以上前に進化論を発表した「種の起源」という本の中で初めて考察しました。

 生物は同じ種でも、遺伝的に次世代に伝えられる形態的、生理・生態的な性質にばらつきがあります。生育している自然環境下(個体間の競争や異種生物との関係なども含む)で、それらの差異に応じて生存・繁殖に差が生じ、次第に環境条件に適したものが生き残るというものです。

 現代では、生物の進化を遺伝子頻度(ある対立遺伝子が集団の中で占める割合)の変化としてとらえる集団遺伝学で説明されています。ある環境下で、生存、繁殖に有利な遺伝子型(遺伝形質(遺伝子作用で現れる表現型)を決定する遺伝子の組み合わせ)を持つ個体は生存、繁殖し子孫を残すことができますが、不利な遺伝子型のものは、しだいに残せなくなっていきます(自然選択)。また、それには、突然変異により新たな遺伝子型の導入が集団におこることによっても影響を受けます。

 以上、かいつまんで説明しましたが、これらのことは高校の「生物」の授業で習うはずです。「生物」の教科書で生物の進化と系統の章を読んでみて下さい。

自然選択以外のことも載っています。また、さらに詳しく勉強したい場合は「キャンベル生物学」(丸善、2004)が参考になると思います。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-08-02
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