一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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対生葉序について

質問者:   中学生   プランクトン
登録番号4197   登録日:2018-08-13
私は自由研究で植物の葉序と黄金角の関係について調べています。葉序は、下の方の葉を0番とし、それより上にある葉を順番に数えて、0番の葉と重なった葉のところで止めます。葉が重なるまでの回転数/重なるまでの葉の枚数で調べるらしいのですが、対生の場合、葉序が分数で表すことができるのか、葉の数え方がわかりません。分かりづらい説明で申し訳ありません。
プランクトンさん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
葉序、葉の開度の表し方についてはかなりむずかしい点がありますので、説明、回答が長くなってしまいました。ご自分で絵を描きながら読んでください。分からない点があればいつでも再質問して下さい。

葉の並び方(葉序)には、互生、対生、輪生がありますが、茎の1つの節に1枚の葉がつくものが互生、2枚の葉がつくものが対生、2枚以上の葉がつくものが輪生です。対生は輪生の特殊な場合と見ることが出来ます。互生では、1つの葉の次の葉は茎を中心としてある角度(開度と言います)をもってついていますから葉の付着点をつなぐと茎を回るらせん状の線になります。開度が180度であれば次の葉は茎の反対側に、その次は最初の葉の真上に来るので、葉は茎に2列に付き、茎を1回りする間に2枚の葉があることになります。上位の葉は下位の葉よりも発生的に若いものです。葉の開度はいろいろで、プランクトンさんが言われる通り0番の葉と同じ位置に来るまでに何枚の葉があるかによって決まっています。葉は発生順にらせん状に並びます。このとき葉の開度は、茎1回り360度を1とし、葉の数と併せて分数形式で表すことが出来ます。別の言い方をするとある植物の互生葉序の葉の開度は、1/2、1/3、2/5、3/8、5/13、・・・・・・・と言う分数数列のどれかになる、と言う規則性があるものです。
一方、対生葉序では発生的に同等な2枚の葉が1節に向かい合ってつき、上位の節の同じ位置(180度回った位置とも360度回った位置とも考えられますが)に発生的により若い2枚の葉がつきます。上位の節に90度回って葉がつくと十字対生で、もっとも多く見られる対生葉序です。葉の付着点をつなぐ線は茎の軸と並行になり、対生では2本で葉は2列、十字対生では4本で葉は4列につきます。上に述べたように分数形式で表すものは「葉の開度」です。対生、輪生では各節につく葉は同じ開度で並びますから、開度は360/n(nは節につく葉の数、もし茎1周360度を1とするなら1/n)で表すことが出来ますが余り意味のあるものとは思えません。単純に対生(=2輪生)、3輪生・・・・n輪生と表すことで何の問題もないと思います。
しかし、これらの並び方は厳密に固定されたものではなく、同一植物個体の中でも対生葉序が互生葉序になったりその反対だったりすることがあります。登録番号1012, 1766, 2688でも触れられていますが、茎頂分裂組織で葉が出来るときにオーキシン(植物ホルモンの1つ)の局所的分布が重要で、何か外部からの刺激が加わるとオーキシンの局所的分布が変化して対生になったり互生になったりすることがあるからです。



今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-08-21
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