一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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シダ植物の胞子嚢の位置と絶滅危惧との関連性について

質問者:   中学生   ハロハロ
登録番号4198   登録日:2018-08-13
家庭にある観葉植物のアジアンタムの胞子嚢は葉の縁にありました。教科書に載ってるシダ植物の胞子嚢の位置とは異なっていたので、他にどんな種類があるのか植物園に見に行きました。すると、葉の裏でも、全体的に散らばっているワカナシダや、葉の裏側中央に密集しているチチジマベニシダなど様々なタイプがあると知りました。さらに調べて行くうちにシダ植物は絶滅危惧になっているものが多いと知りました。絶滅危惧になる背景として、胞子嚢の位置との関連性はあるのでしょうか?教えてください。
ハロハロ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問は基礎生物学研究所 生物進化研究部門の長谷部先生に回答をお願いしました。

【長谷部先生の回答】
私もシダ植物の形の多様性にとても興味を持っているので、嬉しいご質問をありがとうございます。ワカナシダやチチジマベニシダを観察できるとは豪華な植物園ですね。こんな植物園が日本にあることは素晴らしいです。また、アジアンタムの胞子嚢の位置を観察したとのこと、面白いでしょう。葉の縁について、そこが折れ曲がっているのに気づきましたか。なんであんな凝ったことをするようになったのかは、近縁のシシランやイノモトソウを観察すると推定できるかもしれません。また、葉脈の胞子嚢の関係も観察すると関連性があって面白いですよ。
http://www.nibb.ac.jp/evodevo/tree/00_index.html  にシダの系統関係を解説してありますので参考にしてください。
シダ植物は被子植物よりも絶滅危惧種の割合が多いです。これは、シダ植物が特定の谷や地域にだけ生えている場合が多いからではないかと思います。その理由の一つは、被子植物の種子に較べて、シダ植物の胞子は小さいので、風に飛ばされて遠くまでたどりつけるからかもしれません。日本列島の多くのシダ植物は中国大陸から胞子が飛んできたものですが、たまたまいくつかの胞子が特定の谷にたどりつき、そこでたまたま繁殖したために分布が狭いのかもしれません。
さて、ご質問の胞子嚢形態と絶滅率が関係するかですが、それを支持する研究結果は見つかりませんでした。また、私もうまく思い当たりません。良い理由を思いついたら教えて下さい。

長谷部 光泰(基礎生物学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2018-08-22
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