一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ふわふわの葉をもつ多肉植物の共通点

質問者:   大学生   たかみー
登録番号4207   登録日:2018-08-20
多肉植物が好きでその中でもふわふわとした葉を持つ多肉植物が好きです。なので、他のどの多肉植物が同じ様な葉を持つのか気になり調べたところベンケイソウ科の多肉植物に多いことが分かりました。
乾燥地に自生しているからだと考えましたが、それは他の多肉植物でも同じなのでなぜベンケイソウ科に多いのか教えてもらいたいと思いました。
たかみー さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
多肉植物とは葉、茎あるいは根が通常の植物よりも多肉化して多量の水を貯める植物の総称で、多くは高温、乾燥に耐える性質(耐乾燥性)をもっています。しかし、耐乾燥性をもつ種がすべて多肉植物とは限りませんし多肉植物のすべてが耐乾燥性であるとは限りませんが、サボテン科は多肉植物に含まれます。これは植物学的に定義した「多肉植物」です。しかし、有用さ、美しさ、珍しさ、面白さ、などを扱う園芸の分野ではサボテン科は種も多いので独立したグループと扱い、これを除いたグループを「多肉植物」としています。たかみーさんが言われる「多肉植物」は後者の意味と捉えていますね。上に述べたように「多肉植物」は主に、葉、茎の形状(多肉化肥大している)と機能(多量の水を貯めている)で定義されていますので、非常に広範な科、属にわたっており、おそらく8000種を超え、これに園芸品種を加えると何万種あるか予想も出来ません。葉の形状も幅1mm程度の小さく太った棒状、やや扁平なものから幅数センチメートル、長さ1メートルにも及ぶ(例えばリュウゼツラン)まで連続してあります。ベンケイソウ科は、その一つの分類群で、多肉化した葉は1mm以下から数センチ程度のものがほ多いようです。茎(節間)は長いもの、短いもの(葉がロゼット状に詰まっている)、木化したものなどいろいろです。
さて、「ふわふわとした葉」と言うのがはっきりしません。マンネングサの仲間は、葉が小さく太って、鮮やかな緑色で「みずみずしく」見えます(これを、ふわふわと表現されたのかなと思います)が、同じベンケイソウ科でもベンケイソウやイワレンゲの葉はふつうの葉の形か大きなへら状で厚く多肉化しており、表面も黒みがかった緑、時には粉を薄くまぶしたようで「ふわふわ、みずみずしい」と言うには抵抗を感ずるものです。おそらく、たかみーさんは園芸品種(観賞用)だけを見て疑問をもたれたのはないでしょうか。外来種のハマスベリヒユ(ハマミズナ科)などは園芸種と扱われていませんが立派な多肉植物で葉は「みずみずしい」と言うことも出来そうです。しかし、これらの表現は主観的なものです。多肉化という進化の結果と分類群としての特徴の進化とは一致しないことの現れでしょう。
多肉植物、succulentやベンケイソウ科、Crassulaceaeをキーとして検索すると沢山のサイトがありますのでこれらを手始めに調べられるとさらに参考になる知見が得られると思います。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-08-28
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