一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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子葉の小さいインゲンと大きいインゲンの伸び率の違いについて

質問者:   小学生   お初
登録番号4213   登録日:2018-08-27
学校の授業でインゲンの発芽実験をやりました。その時に子葉の大きさを変えて育ててみたら、子葉の大きさが4分の一になっても大きく育ったので、不思議に思って、夏休みに研究しています。
2回実験をしたところ、子葉が4分の1の少ないほうが発芽が早くて最初は大きくなり、子葉が4分の4のもののほう発芽が遅くて最初は小さかったので、自分の予想と違ってびっくりしました。4日間観察したら、子葉が大きいほうが4分の1を追い抜きました。
 子葉が小さいほうが発芽が早くて最初の成長が大きいのはなぜですか?私は、異常事態が発生した時には早く発芽して自分で栄養を作るという性質があるのではないかと思ったのですが、そういう性質はあるのでしょうか?ご解答をよろしくお願いします。
お初 さん 

この質問コーナーをご利用くださりありがとうございます
どのようにして子葉の大きさを変えたかが分からないので以下に想像してみることにします。まずは、インゲンマメの種子を指で二つに割ると、幼芽や胚軸などがくっついた子葉とくっつかない子葉に分かれて、子葉が二分の一のものが得られる。つぎに、このようにして作った幼芽や胚軸などがついた子葉から、葉芽・胚軸部分を傷つけないように注意して、子葉の半分を鋭いナイフで切りすてることによって目的とする実験材料(子葉が四分の一のもの)を手に入れる。この方法以外に考えられるのは、もともと子葉の大きさが大幅に違う種子を実験材料として選んでいることですが、これでは良い実験にはならないでしょう。なお、説明のために、「種子」とは花からできた幼植物が一時的に細胞分裂を止めている状態で、「種子の発芽」とはこの幼植物が‟なだれ的に細胞分裂を開始すること“としておきます。

あなたの観察では、子葉が四分の一のもののほうが、四分の四のもの(無傷)にくらべて、発芽が早かったとのことですね。この結果には私も驚きます。「植物の種子には、異常事態が発生した時には早く発芽して自分で栄養を作るという性質がある」とするあなたの見かたは合目的的(植物が上手に生きて行くとの目的にかなっている)で、理にかなっているように見えます。その場合、幼芽の細胞分裂のスタートに、将来自分を養ってくれることになる子葉の大きさ(栄養量)が感知されて伝わって行く仕組みが必要ですね。他の可能性として、私が想像するような方法で実験材料が作られたとした場合、子葉の種皮がとり除かれるとか子葉に切り口ができることで水のしみこみが早まったのが原因であることが考えられと思います。

幼植物体は、緑になって光合成で養分が得られるようにと変化して行くことになりますが、子葉にはまだ大量の養分が蓄積されていて、植物体の成長は大きく子葉に依存している状態ですので、4日目の観察で無傷のものが四分の一のものを追い抜いて成長したことは理解できます。一方、追い抜かれたことは、早く発芽したことがあまり役に立っていないことを示しているとも受け取れます。

アイデアに富んだ大変おもしろい研究だと思います。結果の再現性が重要ですので、この点には十分に気をつかってください。



佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-08-28
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