一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

ブドウに含まれる成分

質問者:   会社員   バラ窓
登録番号4227   登録日:2018-09-04
赤ブドウ、黒ブドウ、青ブドウと言ったように、
現在色が違うブドウが多く存在します。
この色と成分の相関性について今回お聞きします。

まず、アントシアニンは一般的に、赤ブドウ、
黒ブドウに多く含まれ、青ブドウには少ないと言
った事をお聞きします。
この事は、本当かお聞きします。


二つ目の質問をさせて下さい。
ブドウの皮や赤ワインに多く含まれている
アントシアニンと同じポリフェノールの仲間と同
じレスベラトロールについてお聞きしたく思います。
やはり、この成分は、ブドウの色によって、含有量
が違って来るのでしょうか?

雑談ですが、レスベラトロールの他にも、イタドリ
と言う植物に多く含まれていると聞きます。
私たち、会津では、スカンポと言っています。
小学校、中学校の頃、大分大昔ですが、下校の時間帯
に採って食べました。酸っぱい食べ物でした。



バラ窓 様

ご質問をありがとうございます。
まず、ブドウやワインの色や成分については専門家による詳しい研究がなされており、ここでの私の回答は門外漢としての文献調査に基づくものであることをお断りしてしておきます。

(最初の質問への回答)
ブドウの色は果肉を包む果皮に沈着している色素によるもので、蓄積される色素であるアントシアニンの量は、あお(黄緑)色系統のブドウでは少なく、赤色や黒色の系統では多いのが一般的であるようです。
ブドウの果皮に含まれるアントシアニンの非糖部分(アグリコン)はシアニジン・ペオニジン・マルビジンなどの誘導体である場合が多いようですが、含まれるアントシアニン色素の種類は一般には非常に多いのが実態のようです。果皮の色が濃くなるのは蓄積されるアントシアニンの総量の高まりが主因のようですが、色素の種類の違いも当然大きく関係しております。なお、次の質問にも関係しますが、ブドウの果実には、色の系統(青・赤・黒)には関係なく、アントシアニン以外のフラボノイドやポリフェノールが多量に含まれております。

(二つ目の質問への回答)
赤ワインに多く含まれるポリフェノールである「レスベラトロール(Resveratrol;l3, 5, 4′-trihydroxystilbene)」は、例えばアントシアニン含量が非常に少ない系統のブドウの品種である「マスカットオブアレキサンドリア」の果皮に大量に含まれている一方で、その合成速度が赤色や黒色系統のブドウにおいてアントシアニンの蓄積に伴って減って行くことが知られています。このようなことから、赤ワインのレスベラトロール含量が高いのは、赤ブドウの果皮にこの成分が多く含まれているからと言うよりは、ワイン製造の過程で果皮が取り除かれないことに因るのではないかと思われます。

(雑談に関係して)
イタドリ(学名:Fallopia japonica)は医薬品(?)として利用されるレスベラトロール抽出の原材料として注目されているようですね。


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-09-10
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内