一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ソラマメの根における体細胞分裂について

質問者:   その他   めんま
登録番号4295   登録日:2018-12-04
中学3年の教科書や問題集を見て植物の勉強をしていると、「ソラマメの根は先端で細胞分裂をしている細胞が多く見られる。根元では見られなかった。」といったような記述がよく見られます。先端の成長点で細胞分裂しているのは分かるのですが、根元の方では細胞分裂している細胞は絶対に見られないのでしょうか。
過去の質問を見ていると、側根にも根端分裂組織があると書かれているものがありました。また、「やがて根の中には形成層と呼ばれる筒状の層が現れてきます。」(登録番号2108)ともありました。
これらを自分なりにまとめてみると、「植物の根は先端以外でも分裂しているが、教科書などで扱っているソラマメなどは、発芽後間もないので、形成層が作られていないと考えてよく、根元のほうでは細胞分裂は観察されないと考えてよい。」ということなのでしょうか?それともソラマメや玉ねぎの根が形成層ができない種類なのでしょうか?よろしくお願いいたします。
めんま さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
中等教育の生物教科書では生物のごく基本的な構造、働き、行動などの共通特徴をモデル化して記載、解説しています。根の形成、成長の仕組みを理解するために草本の根形成の初期過程(一次成長)だけを中心に記載しているのでご質問のような疑問が起こるのだと思います。しかし、根系の発達まで見れば側根形成が活発に起こりますので「根の根元のほうでも細胞分裂は起こる」と理解すべきです。根は先端から細胞分裂域、分化域、伸長域、成熟域に分けられ、分化域、伸長域では細胞分裂は起こりません。しかし成熟域では側根形成がはじまります。側根原基は周皮の横方向の細胞分裂で形成され(但し、このとき形成層と言うべき組織は出来ません)、側根の先端分裂組織が形成されると主根と同じ経過をたどります。ですから根では、先端分裂域以外でも細胞分裂は起きます。ここまでは草本類でも木本類でも同じです。木本類の根では一次成長に続いて二次成長が起こり、肥大成長がはじまります。交互に配置する原生(一次)木部と原生(一次)篩部の間に維管束形成層が発達し、内側に向かって後生(二次)木部を、外側へ向かって後生(二次)師部を形成して根は肥大します。蔬菜類(主に双子葉類)、穀類(単子葉類)など多くの一年生植物の根では二次成長は起こりません。根の形成層は二次成長(肥大成長)する場合に作られます。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-12-10
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