一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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みかんの皮がツートンに

質問者:   一般   みかんの不思議
登録番号4330   登録日:2019-01-08
箱で買ったみかんの中に1つだけ、皮がくっきりと2色にわかれています。
これは自然でできたものでしょうか?
それとも、人の手が加わったものでしょうか?

(写真もありますが、添付の仕方がわかりません。)
みかんの不思議さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
これはキメラという現象で、ある種の突然変異の結果とされています。
ミカンの果実の成り立ちを考えます。ご存じのように果実は雌しべの下部にある子房が膨大したものです。ミカン類の雌しべは1本のように見えますが10枚前後の心皮が融合したものですが、子房部分の各心皮は内側に湾曲して両側が融合して10室前後の空洞(胚嚢)を作りその中に将来種子になる胚珠があります。子房は心皮の数だけの部屋があることになり、その1つがミカンの房の1つとなり、皮をむくと10個前後の放射状に並んだ房が現れます。房の皮は子房の内果皮に相当し、外皮(白い中果皮、みかん色の外果皮)は完全に融合して房全体を包んでいますが、発生的には房の数だけ独立の発達をします。キメラは、心皮の発生過程でそのいくつかが遺伝的な変異を起こしたために、変異を起こした房に相当する区分だけが違った形質を表現したものです。ご質問の場合は、皮の色素を合成する過程に変異がおきたために、変異がおきた心皮部分と変異を起こさなかった心皮部分が区分けされて着色したものと思われます。類似の現象は他にもありました。次のサイトはご参考になると思います。
http://ww2.ja-tcc-info.jp/web/xfiles/36721358971234504618.pdf


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-01-14
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