一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カルスと培養細胞の違い

質問者:   大学生   さわ
登録番号4336   登録日:2019-01-16
研究室でカルスを扱っていて疑問に思い質問いたしました。

私は2つの間に特に違いはないと思い、イメージとして、植物組織から誘導し固形プレート上で培養しているものをカルスと呼び、液体培地上で培養しているものを培養細胞と呼んでいます。この2つに明確な違いがあったりするのでしょうか?

ご回答よろしくお願いいたします。
さわ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。言葉だけの問題としてお答えします。
植物学においては、組織、器官が物理的傷害を受けたとき傷害部周辺の細胞が分裂を開始して生ずる、主として柔細胞からなる無定型の細胞塊をカルスと呼称しています。無菌条件のもとで植物組織片(器官片)をオーキシン、サイトカイニン、無機塩、ビタミン類を含む固形培地上におくことでカルス形成が顕著に促進され、かつ継代培養が可能なため、その後の展開で種々の培養細胞系が確立されてきました。「培養細胞」は培養という手段(静置培養、懸濁培養、組織培養、器官培養などいろいろあります)で得られる細胞群を指す広い意味をもちます.。液体培地による懸濁(浮
遊)培養だけとは限りません。固形培地上のカルスも培養細胞です。つまり、「カルス」は植物体細胞に由来する無定形の細胞塊に、「培養細胞」は人工的に培養した細胞すべて(動物、植物ともに)に適用されています。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-01-23
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