一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ニガウリ(ゴーヤ)にキニーネは含まれているのでしょうか。

質問者:   会社員   ばったん
登録番号4354   登録日:2019-02-17
 ブログやTwitterを見ていると、「ニガウリ(ゴーヤ)の苦みの成分にはキニーネが含まれている。キニーネは子宮を収縮させるので、妊婦は食べない方がいい」という情報が数多く見られます。

 一方私は、トニックウォーターを飲むと食物アレルギー(固定薬疹)の症状が出ます。大学病院の専門医による検査の結果、トニックウォーターに含まれるキニーネによるアレルギーである可能性が極めて高いとの結果を得ています。

 しかし、その私が(例えばゴーヤチャンプルなど)ニガウリを食べても、食物アレルギーの症状が全く出ません。
 トニックウォーターは一口での飲めばアレルギー反応が出ますので、ニガウリには入っていないのではないかという疑問を持ちました。

 そこで化学分析を行っている研究機関に聞いたところ、成分的にニガウリにキニーネが入っていることは確認できない、との回答を得ました。
 ただ回答をくださった方もニガウリの専門家ではないので100%とは言い切れないとのことでした。

 つきましては、ニガウリ(ゴーヤ)にキニーネが含まれているのか否か、植物の専門家の方にお聞きしたいです。

 宜しくお願い申し上げます。
ばったん様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
植物の専門家よりはむしろ天然物化学の専門家の方がよく知っておられるかもしれません。
いろいろ文献を調べてみましたが、ニガウリにキニーネ( quinine) が含まれると言う専門的な研究報告は見当たりません。ニガウリ(Momordica charantia)の様々な栄養学的、医療的効果についてはたくさんの報告があります。その中で抗マラリア作用というのもありますから、キニーネと間違えられた可能性はあるのではないでしょうか。
ゴーヤの苦み成分はモモルディシン(momordicin)というトリテルペン属のステロイドの仲間です。ウリ科の植物には苦味の成分を含むものが多くありますが、これらはククルビタシン(モモルディシンもその仲間)とよばれ、やはりトリテルペン属の化合物ですが、一般に有毒です。キニーネはキナの木の成分でアルカロイドですから、全く化学的に異なります。トニックウォーター には苦味成分としてキニーネが含まれています。テレビのある番組で苦味の度合いを測る基準としてキニーネの苦味を使ったことがあったようです。ゴーヤの化学成分の研究に関するレビュー記事がありますので、英文ですが参考のために挙げておきます。ネットで見られます。

International Journal of Nutrition and Food Sciences; 4(1): 75-83、Published online February 9, 2015 (http://www.sciencepublishinggroup.com/j/ijnfs) doi: 10.11648/j.ijnfs.20150401.21
ISSN: 2327-2694 (Print); ISSN: 2327-2716 (Online)  Nutritional, pharmacological and medicinal properties of Momordica charantia
Kandangath Raghavan Anilakumar1, *, Garlapati Phani Kumar1, Nallamuthu Ilaiyaraja2


勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-02-25
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