植物Q&A

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葉の統計的な分析について

質問者:   会社員   植物は天が作ったAI
登録番号4357   登録日:2019-02-26
トマトなどの株や苗の水ポテンシャルやNDVI 値等を評価し、その後の栽培指針にする方法においてどの部分の葉を何枚以上観測すれば苗の代表としてのデータとして使用できるのか教えてください。よく光合成が盛んで成長がある程度進んだ5段目の葉を測定する等、その果菜業界特有の部位についての記述を観るのですが。
植物は天が作ったAIさん

みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
この質問に対する回答を、野菜類の水管理と成長の問題を中心に研究している中野有加博士(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)にお願いしました。

【中野先生のご回答】
果菜類のどの葉を測れば、その時の植物体全体を評価できるかというご質問ですが、本来は、物質生産(葉の光合成能力の評価)は、受光量(全葉面積と、上位から下位までの光の透過性)で決まります。
質問は「手っ取り早く」とのことですので、どの葉を測ればよいかということに絞ります。
葉には、(1)葉自体の生育ステージと(2)果実との位置関係、の二つの面があります。
まず、(1)葉の生育ステージですが、出葉してから完全に展開し、面積が最大となった後、葉の厚みが増し、枯れて脱落する、という経過をたどります。ちなみに栽培管理では、老化すると光合成の寄与はなくなりますので、黄化し始める前に摘葉します。
具体的手順:葉長X(エックス:植物種により適当に選ぶ)cm以上の葉を1枚として、上から何枚目、というように言います。その時点での栄養状態(特に窒素)を評価する意味で、上位2~3枚目くらいの葉色を測定することが多いようです。
 圃場で生育している植物の水ポテンシャルや光合成速度の測定は、光の当たっている葉の中で、完全に展開した葉を測定することが多いです。
(1)ある品種の植物について言えば、葉の展開は、ほぼ積算気温で決まります。ですから、厳密にいえば、上から何番目、あるいは何日後、というよりは、出葉後の有効積算気温○○℃x日数、というふうに書いた方が正確です。なお、(1)以外に、(2)果実との位置関係が問題になります。トマトでは、果房の直上葉は、維管束の連絡により、他の2枚の葉よりも葉面積が小さく、光合成産物の転流先が異なります。そのため、果房との位置関係を揃える方がいいです。
最後に測定数についてですが、生育等の指標として評価するには、圃場では5枚以上測定している例が多いと思います。
ただ、数が多く時間がかかってしまう場合には、時間の影響を無視できなくなりますので、その数は、用いる測定方法によって異なります。


櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-03-16
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