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植物ホルモンの分析・定量について

質問者:   教員   さるすべり
登録番号4358   登録日:2019-02-27
科学部の活動で、植物の光応答について研究しています。オオカナダモを茎頂から5cm切り取り、大型試験管に入れ、水を満たして赤色LEDおよび青色LEDのもとで成長させました。(光量子束密度は同じになるようにLED球数を調節しています。)成長の様子をタイムラプスで撮影したところ、赤色LED下では盛んに気泡が出ていて茎はあまり伸長せず、発根が起こりました。青色LED下では茎が反時計回りに成長運動しながら長く伸長し、発根は全く起こりませんでした。これは光の波長によって植物体内で合成される植物ホルモンの量が異なるから、または植物ホルモンに対する感受性に違いが生じるからではないかと考えました。部活動ではこの植物ホルモンはオーキシンで、青色LED下で多く合成されているという仮説を立てています。つきましては植物体内で合成される植物ホルモンを分析・定量したいのですがどのような方法があるでしょうか。
さるすべり様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
切り取った植物体を水耕すると、切り口から様々な物質が滲出さしてきます。当然成長調節物質も出てきます。その種類と量は栽培する植物の部位、栄養条件、エイジ、そして光、温度などの生育(栽培)条件で異なります。ここで、実験条件に問題がないとすれば、確かに、何か茎や根(発根?)の成長に影響を及ぼす物質が栽培液中に滲出してきていることが考えられますね。そしてそれが赤色光と青色光で異なるようだということも。興味ある実験ですが、実験をもう少し詳しく記載していただくと助かります。例えば
1)対照としてどのような条件を作られましたか。暗黒下、白色光下、昼色光下?(一番大事なことです。どういう条件で育てたものに比べて、阻害的なのか、促進的なのか)
2)レタスの種子を育てるということは、種子を発芽させて、さらに胚軸と幼根の成長を調べるということですか? 種子の発芽調節機構と、胚軸や茎の成長調節機構は同一ではありません。
3)青色LED下でオーキシンが多く合成されるという仮説を立てるに至った根拠は何か。など。

しかし、ここではご質問の植物ホルモンの分析のことについてお答えいたします。

既知の植物ホルモンの分析(同定、定量)は、現在では機器分析の進歩によって、極めて微量(ピコあるいは場合によってはフェントのレベルまで)の扱いがでいきます。実験結果を研究論文として発表する場合には機器分析によるデータを示すのが通常です。あなたの所ではどの程度のレベルの実験を考えておられるのかわかりませんが、正しくオーキシン(他のホルモンも)の定量を行うには機器分析に頼るほかありません。貴高校の実験室で植物ホルモンを抽出、同定、定量するのは無理かと思います。
あなたの学校の近くに分析化学的実験をやっている大学か研究所はありませんか。もしあれば、どなたか先生にお願いして協力していただくことができれば一番良いのですが。
しかし、大まかな推定に役立つ程度のデータを得るのなら、それぞれのホルモンの検出に用いられるバイオアッセイ(bioassay)やオーキシンのサルコフスキー(Salkowsky)反応のような化学的方法などを利用することもできます。成長において一般的に促進的に作用するのはジベレリンで、阻害的なのはアブシシン酸(ABA)ですが、他のホルモンや関連物質のの関与もありえます。ジべレリンの場合は、バイオアッセイの標準的方法であったジベレリンにしか反応しない矮性の植物の種子を入手して、それで検定してみれば、量が多い少ない程度は判断できるでしょう。イネの短銀坊主という品種が一般によく利用されました。現在簡単に入手できるかどうかはわかりませんが、「短銀坊主」という項目でwebを検索していただくと、幾つかの研究機関などでの研究が紹介されていますので、そういうところに照会してみるのも1方法でしょう。オーキシンのサルコフスキー反応は今でも使われることがありますが、オーキシン特異的ではありません。改良されたGordon & Weber 試薬というのが一般的です。バイオアッセイにしろオーキシン試薬にしろ、もし使ってみたいのであれば、少し旧い植物ホルモン分析の参考文献を見れば詳しくわかります。入手できないようでしたら、お尋ねください。


勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-03-18
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