一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

稲の種籾について

質問者:   会社員   さとう
登録番号4440   登録日:2019-06-06
初めまして、さとうと申します。

農業に詳しい方、お手隙の際に教えて頂きたい事がありメールを致しました。

バガボンドという漫画で、
下記記述がありました。

不思議だ
種籾を植えて
同じ米がなる
有り難い
足りないものは何もない

普通動物は同じ子孫を交配すると
遺伝子上になんらかの問題が発生すると思いますが、植物は違うのでしょうか?

種籾を植え、
そこから収穫した米から得た種籾をまた植えると親と同じ米ができる

これを何十年、何百年続けても
栄養など変わらない全く同じ米ができる続けるのですか?これが本当だとしたら、
種籾さえあれば永遠に米を収穫できる事となりますよね。
となれば例えば玄米は完全栄養食として候補になっていますが、稲の種籾さえあれば、人類は餓死を避けれるという食料問題の解決の最右翼となりうる気がしております。

お忙しいところ恐れ入りますが、
食料問題について思う所があり、
農について勉強をしております。

何卒、よろしくお願い致します。
さとう さん

みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。

*問
普通動物は同じ子孫を交配すると遺伝子上になんらかの問題が発生すると思いますが、植物は違うのでしょうか?
*答
イネは主として自家受粉で繁殖するので、同じ子孫を交配しても大きな問題が生じない程度に、遺伝子の組合わせがうまく選び抜かれていると考えられます。もし、遺伝子上に何らかの問題がある場合には、その子孫は生存の確率が低いので、次第に少数派となっていく可能性が高い、しかし、遺伝子に変異を持つものの中でごくわずかのものは、病害、気候の変動などに対する抵抗力が親よりも向上している場合があり、新たな環境下では生存の確率が親株よりも高いので、自然生態系において、その集団の中で次第に優占種となっていく確率が高いと考えられます。
現存の植物の遺伝子の組み合わせは、最良ではないかもしれないが、相当程度選び抜かれているので、長期間にわたって存続できていると考えられます。

*問
稲の種籾さえあれば、人類は餓死を避けれるという食料問題の解決の最右翼となりうる気がしております。
*答
世界の人口が今の程度なら、必要な食料を量的には供給できるでしょうが、全員に必要量を配分できるかどうかという問題が残ります。人口の増加、地球全体の気候の大規模変動、あらたな脅威となる病虫害の出現などのリスクもあります。また、豚肉に含まれる栄養素の熱量は飼料の約1/4、牛肉の場合は約1/8と言われ、食品のし好の変化が、一部の人々に対して、食料不足の影響をより深刻化させているという指摘もあります。

興味があれば、インターネットで、「コメ」、「品種改良」を検索語として調べると、いろいろ興味深い情報が得られると思います。



櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-06-13
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内