一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トマトの接ぎ木の効果について

質問者:   その他   浜田
登録番号4543   登録日:2019-09-29
数年前、ミニトマトの接ぎ木苗を買って育てると、ピンポン玉ぐらいの大きさの実を付けた。(測った訳ではないが、おそらく重量が1桁多い。)
こんな種類もあるかと思い、それを挿し木すると普通のミニトマトだった。
柿や枇杷でも、実(み)は台木の影響を受けるが、これまで顕著に現れるのは初めてだった。
トマトにおいて、そのような現象が起きるのは一般に知られていることなのか??
できれば、その台木の品種が知りたい。
浜田 さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
接ぎ木苗は、台木に土壌病害抵抗性の品種を用いると接ぎ穂に病害抵抗性がなくても作物として優秀な品種系統を用いることが出来る利点があります。現代農業では同一品種系統を多数栽培するので連作障害が出ることもありますが、これらも接ぎ木苗を用いることで避けることが出来ます。また、台木根系の栄養吸収特性が接ぎ穂の成長に影響するため有利な場合も少なくありません。使われたミニトマト苗の台木がどのような特性のものかは苗の販売者あるいは生産者に尋ねなければ分かりません。穗木の枝を挿し木にした場合は前記の利点が無くなります。特に挿し木の根は不定根に基づく根系ですから根系の発達情況は自根系の発達情況とは異なります。台木の根系(台木にとっては自根系)とは栄養吸収特性や病害抵抗性は違うものとなります。そのため地上部の成長は接ぎ木苗のときとは違ったものとなり、果実の生長特性が異なる可能性も捨てきれません。したがって、ご質問にあるような、果実の特性が異なることがおこったと推定されます。
また、トマトに限らず、一般に果実の大きさ、外形、味などは、環境条件(日照、温度、栄養条件、水分条件など)や栽培条件(水分管理、樹形管理、花蕾数管理など)で違いが出るのがふつうです。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-14
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