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バジルの青色光応答について

質問者:   教員   さるすべり
登録番号4563   登録日:2019-10-22
質問させていただきます。3つのシャーレにろ紙を敷き、水を含ませてバジル種子をまきました。1つはそのままで、1つはエテホン水溶液を入れたシャーレとともに密封のポリエチレン袋に入れ(エチレン処理)、もう一つは青色LED下に置きました。結果、そのままの芽生えに対して、エチレン処理したものと青色LED下に置いたものでは胚軸が短くなりました。どちらも教科書の記述通りの結果となりました。なぜ、青色LEDで胚軸が短くなるのでしょうか。青色LED下での胚軸の成長はエチレン処理した場合と同様でした。青色光を照射するとバジルの植物体内でエチレンが合成され、胚軸の伸長を抑制しているのではないかと考えました。青色光とエチレン合成に関係があるのか、またこのことについての文献がありましたら、ご教示ください。よろしくお願いします。
さるすべり 様

この質問コーナーをご利用くださりありがとうございます。
バジルの芽ばえ後の生育に注目して、エチレン処理と青色LED光照射の二つの実験を行い、両方の場合に共通して胚軸が短くなることが確認されたので、次のようなシナリオを考えられたものと理解します。
(シナリオ):➀植物が青色光を受容する → ② 体内にエチレンが蓄積する → ③細胞内でのセルロース微繊維の配向が変化し、胚軸の伸長が抑制される。このシナリオに従うと、バジルを用いるこの実験系においても、青色LED光照射によってエチレン濃度に変化が生ずることが期待されますね。論文を探すと、青色光照射がエチレン生合成のシグナルとなることが果実の追熟や収穫後の生理過程において知られているようです(例えば、下記文献参照)。一方、植物の青色光受容体の一つであるクリプトクロムにより吸収される光が芽生えの胚軸伸長の抑制に働くことが知られていますが、この場合の青色光の受容から生理作用の発現に至るシグナル伝達の過程においてエチレンが必須の成分として関与している可能性を示す証拠は今のところは得られていないように見受けられます(私が調べた限りにおいて)。

なお、実験として見た場合、質問文に書かれた説明には不明なところがあります。
1)エチレン処理に関する実験の場合: 対照植物は、エテホン水溶液の代わりに水を入れたシャーレとともに密封のポリエチレン袋に入れることになると思いますが、そのようにされたのでしょうか。 エテホン水溶液は胚軸の計測が行われるまでの間(数日間?)エチレンを供給し続けているのでしょうか。 また、種子が発芽して実験データーが得られるまでには水分や養分の供給が必要であると思いますが、これらはどうのようになされたのでしょうか。
2)青色光照射に関する実験の場合: 対照植物は、自然光に曝されているものと思われますが、実験植物ではLEDからの青色光が付加的に与えられたのか、それとも、自然光を遮断して代替え的に与えられたのかが不明です。何れにしても、自然光と青色光の光強度の比率が気になります。ただ単に光合成に利用される光の強度が高まったことになっていないでしょうか。

以上、気になることを書いて、回答文とさせていただきます。

(文献)D. Gong et al. (2015) Effect of blue light on ethylene biosynthesis, signaling and fruit ripening in postharvest peaches. Scientia Horticulture 197: 657-664.



佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-30
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