一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花粉管について  短日・長日植物について。

質問者:   その他   新川 真紀
登録番号0467   登録日:2006-01-13
はじめまして。今受験のためにいろんな問題を解いていて、いくつか調べてもよくわからない点がでてきたので、質問させてください。

 まず、花粉管の伸長のことについてです。
花粉管を寒天培地で培養する際に、ショ糖濃度を変化させて行う実験があったのですが、培地のほうが高張のときでも、花粉管は伸長を始めるのですか?
原形質分離がおこると伸長しない、と書かれていたのですが、高張だからといって原形質分離がおこっていない、ということなのでしょうか。
以前の質問の中にもあった毛細管現象のようなものなのでしょうか。
教えてください。

次に、高緯度地方には短日植物は少ない、というのは、単に短日植物種のものが高緯度地方に少ない、ということですか?
それとも、何かきちんと日長に関係する理由があるのですか?

一度にいくつも質問してすみませんが、よろしくおねがいします。
新川真紀 さんへ

少し遅くなりましたが、2つのご質問に下記のとおりお答えします。ご参考にして下さい。

―花粉管について
 花粉管の伸長を観察する実験で、寒天培地にショ糖を加えるのは何故でしょうか?
 その理由として、次のようなことが考えられます。
1)花粉管に接する培地の浸透圧を一定に保つ
2)花粉管の伸長に必要なエネルギーを供給する
3)花粉の発芽を誘発する
 一般に、花粉管は細胞壁に相当する外壁をもっているので、高張液中では原形質分離を起こし、原形質が分離した状態では細胞の機能が大きく損なわれるので花粉管はほとんど伸長しなくなると考えるのが自然だと思います。高張液中での花粉管の伸長を観察する実験ができると良いですね。
 なお、自然界では、通常、花粉はめしべの柱頭で発芽し、花粉管は伸長して胚のうに達することになりますね。花粉はどのような条件で発芽し、花粉管はどんな仕組みで胚のうを探し当てるのでしょうか? 関連して、「自家不和合成」について調べてみましょう。

―短日・長日植物について
 高緯度地方では、昼間の時間(日長)の長い夏が過ぎると、瞬く間に日長が短い冬の季節へと移行します。このような条件のもとでは、日長が短くなるのに伴って地表に到達する太陽光の強度が急激に減少し、また、気温も低下します。一般的に言って、このような状況は植物の生育にとって好都合ではありません。このため、高緯度地方の在来植物には、日長が短くなると花を咲かせる短日植物より、日長が長くなると花芽を形成し、初夏に花を咲かせる長日植物の方が多く含まれるのではないかと思います。


(註)
もしご不明の点がありましたら、改めて質問して下さい。より専門的な回答を用意します。
JSPPサイエンスアドバイザー
 佐藤 公行
回答日:2006-01-27
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