一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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二色の小輪ペチュニア

質問者:   一般   マミー
登録番号4734   登録日:2020-05-19
自宅の紫色のペチュニアの1つだけが、綺麗に真ん中で紫色と濃いピンク色の二色に分かれて咲いています。今まで育ててきて見たことがなく、驚きました。突然変異なのでしょうか?増やすことは可能ですか?宜しくお願い致します。
マミー様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。回答をペチュニアの花の模様の分子生物学的研究をされている東京農工大学大学院農学研究院教授の福原敏行先生にお願いしました。以下がその回答です。
なお、回答中に登録番号4108,2431の質問/回答を参照するようにと書かれていますが、質問コーナーで「トランスポゾン」という語句で検索していただくと、他にも参考になるものがあるかもしれませんので、時間がありましたら、ぜひご覧いなってください。登録番号3835は「トランスポゾン」の仕組みを説明しています。

【福原先生の回答】
質問ありがとうございます。面白い花を見つけるとガーデニングが楽しくなりますね。
紫色のペチュニアの1つの花が綺麗に真ん中で紫色と濃いピンク色の二色に分かれて咲いている理由ですが、おそらく染色体DNA上をトランスポゾン(転移因子)と呼ばれるDNA配列が移動したことにより、花のアントシアニンという色素を作る酵素の遺伝子に変異が入ったから(遺伝子が壊れたから)生じたと思われます。もしくはトランスポゾンにより壊されていた色素を作る遺伝子が、トランスポゾンが移動することにより遺伝子のはたらきが回復したために花の色が変化したのかもしれません。いずれの場合も突然変異ということになります。
このようなトランスポゾンが転移することにより花の色が変化する現象(しくみ)は、アサガオなどで良く調べられております。また、ハナモモやツツジでも一本の木のなかで一部の花の色が変化することがあります。過去の「みんなのひろば」に質問とお答えがあります。

登録番号4108
ハナモモの花の色

登録番号2431
ツツジの花弁の色分かれ

ペチュニアは、さし木(さし芽)で比較的簡単に増やせます。その花が咲く枝の部分を切って、数日~1週間くらい水につけておくと根が出てきます。根が出た枝を、バーミキュライトや「さし芽用の培養土」に植えることで増やすことができます。





福原 敏行(東京農工大学大学院農学研究院)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2020-05-20
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