一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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インゲン の就眠運動について

質問者:   小学生   しゅんしゅん
登録番号4736   登録日:2020-05-21
小6です。自粛期間で時間があるので、4月からインゲン の観察をしています。
毎日インゲン を観察していたら、朝昼夜で葉の向きが変わっていることに気づきました。インターネットで調べたら、それは就眠運動かなと思いました。
なぜその就眠運動をするのかよくわからないので教えてください。
就眠運動は何のためにするのですか。
しゅんしゅん様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
新型コロナウイルスの感染拡大で学校に行けず残念ですね。自粛生活でできた時間を活用して、インゲンの葉の運動を観察されているのに感心しました。
観察されたインゲンの葉は昼間は地面に水平になって開いていますが、夜になると閉じるという運動を繰り返していると思います。インターネットで調べられたように、この運動を就眠運動といいます。どうしてこのような運動をするのか疑問になったのですね。
植物は光のエネルギーを用いて、二酸化炭素と水から糖やデンプンを作る能力を持っていますので、自分で作った糖やデンプンを利用して生活しています。ですから生きていく上で光はとても重要です。昼間、インゲンの葉が地面に水平になるのは、太陽からの光エネルギーをたくさん受取るのに適していると思われます。それでは、夜に葉が閉じるのはどのような利点があるかというと、いろいろな説がありますが、まだよくわかっていません。進化論を発表したことで有名なダーウインは、夜、体内から熱が逃げるのを防ぐのではないかと考えました。それを支持する論文もありますが、本当にそうなのか、それが利点になっているのかはまだはっきりしていません。カタバミは昼間でも風が強い時は葉を閉じます。水が出ていくのを抑えているのかもしれません。生物には約24時間を1周期とする体内リズムがあることが知られています。そのリズムでいろいろな体内の酵素活性や生理機能が調節されています。月光が当たるとそのリズムがくずされるので、それを避けているのではないかという考えもあります。この場合は、就眠運動をしない植物はどうなるのだろうという疑問が生じ
ます。また、葉を閉じて目立たなくすることで、葉を食べる動物や昆虫を避けているという考えもあります。オジギソウなどは昼間でも接触すると葉を閉じます。危険をさけているのかもしれません。
いずれにしても、はっきりした答えはまだありません。しゅんしゅんさんも研究者になって答えを見つけてみませんか?
なお、植物Q&Aに同様な質問を前にも頂いています。登録番号3604, 1381をご覧になって下さい。また、「就眠運動」で検索すると多数の項目が出てきます。参考になると思います。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-05-24
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