一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根の屈性について

質問者:   高校生   竹島百花
登録番号0478   登録日:2006-01-24
生物部に所属している高校生です。

高校の教科書、資料集には載っていないのですが、ある小中学生向けの自由研究の本に「根は磁力ではS極に、電気では+極に向かって伸びる」ことを扱った実験がでていましたがこれは事実なのでしょうか?
また根は方位磁針でN極をさす方向に伸びることも掲載してありました。
磁力を使った実験は立ち読みしたものなので出版社は今、分かりません。
電気的屈性については東陽出版の「たのしい科学あそびー生物編ー」に掲載してあります。

部の実験で扱ってみようと思いますが根を扱う実験はうまくいかないことが多いので実際のところはどうなのか質問してみました。
よろしくお願します。
竹島百花さま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。百花さんのご質問にたいする回答を用意するのに格好な総説が最近だされました(Journal of Plant Research 118巻 371-389 ペ-ジ 2005年)。それをもとに磁力についてのご質問にお答えします。
オオムギとかコムギの種子(正確には穀果)を南北方向に並べて播いた方が、東西方向に並べて播いたときよりも、発芽も生長も早いとか、トウモロコシやコムギの種子を播く時、根を南極に向けると発芽が良いとかという論文が引用されており、植物が磁力を感じていることは確かのようですが、このような話は限られた植物の場合だけで、多くの植物では磁力を感じていることを示す証拠はないようです。この総説に根が S 極に向って伸びるという論文は引用されておらず、そのような話は私が生まれる(1934)前の、実験方法がしっかりしていない頃の実験結果ではないかと思います。
電流を流した時の実験も、私が生まれる以前に盛んに行われており、根は+側に曲るという結果が報告されていましたが、これは電流を流したことにより、根の+側に傷害が起きたためと考えられるようになり、その後の研究では、傷害を起さない程度の弱い電流の場合には、根は-側に曲るという結果になっています。実験の方法によって、結果が変わるようです。
JSPPサイエンスアドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2006-02-08
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