一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ほうせんかを大きく育てるには

質問者:   小学生   サクラ
登録番号4817   登録日:2020-08-02
ホウセンカを大きく育てるための条件を調べています。日光と、土、肥料、水が必要だと思っていますが、倉庫の日陰で育てているホウセンカが、日光が当たっているものよりも、背が高く葉の色もよく育っています。紫外線が良くないのですか?そこで、日光が必要かどうかを調べるために、遮光シートを買って、植物に覆っ調べてみようとおもいますが、どうですか?日陰でよく育つということを実験で証明するための方法を教えてください。
サクラ さん

ご質問をありがとうございます。

日陰で育ったホウセンカが、日向で育ったものに比べ、背が高いことに注目されたようですね。素直な、科学者の目だと感じまました。説明文には「葉の色もよく」とありますが、「よく」の意味が理解できません。緑の色が濃いと言うことでしょうか。

観察の結果から、「ホウセンカは日陰の方が良く(大きく)育つ」のではないかと考え、実験によってこれを確かめようとされているものと理解します。私の考えでは、植物の生育に光が必要であることは疑う余地がないので、面倒な真っ暗にするとかの条件は選ばず、遮光シートの透過率(光を透す割合)をある範囲内のものに限ることで良いのではないかと思います(例えば、75%とか50%)。なお、市販されている遮光シートには何%透過などの表示があると思いますが、できれば、最後には、実際の生育場所で光の透過率がいくらになっているかを確認できると良いですね。

この実験で重要な点は、1つの条件(ここでは照射される太陽(自然)光の強さ)を変化させ、それ以外の条件はいっさい不変(同一)とすることです。専門用語では「対照実験(コントロール)」と呼ばれるものが必要で、照射される光の強さ以外の点では完全に同じ条件で栽培された植物との比較が重要になります。遮光シートで光を遮った場合には、目的どおり光が弱くなること以外に、➀植物のさらされる温度に違いが生まれる、②植物の育つ土壌の水分含量に違いが生まれる、③二酸化炭素の供給など空気の流れに違いが生まれる、④光の強さ以外に、光の質に違いが生まれる(紫外線の含量の差異を含めて)ことなどが心配されます。したがって、これらの心配がないように実験を工夫する必要があります。

評価するものとして、植物の背の高さ以外に、咲く花の数とか、別の特性を考える必要はないですか(あなた次第です)。


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-08-10
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