一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ひまわり

質問者:   中学生   きらり
登録番号4821   登録日:2020-08-03
こんにちは。私は小学一年生から夏休みの自由研究でひまわりの研究しています。ひまわりが太陽を追うことに興味を持ち、毎年たくさんのひまわりを育てて研究してきました。今までの研究の中で一番心に残っているのは、太陽を追わせずに育てたひまわりが真上を向いて花を咲かせたことです。このことについて詳しく調べたいと思っています。太陽を追わせない方法として実験したことは、鉢を毎日一定方向に90°回しました。時計回りに回したひまわりは横を向いて咲きました。反時計まわりに回して育てたひまわりは、真上を向いてさきました。今年ももう一度同じように育ててみました。やはり同じでした。太陽の当たり方が関係していると思うのですが、なぜ違いがでたのでしょうか?どんなことを調べれば、要因がわかりますか?
ご返答よろしくお願いします。
きらり さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

ヒマワリの運動については、これまでいくつかの質問に柴岡弘郎先生が適格に解説しておられます(登録番号2325, 2592, 2515, 2407, 2168)ので本当は柴岡先生にお答え頂くのがよいのですが、今はお願いできないので私の理解できる範囲でお答えいたします。
登録番号2592にも説明があるようにヒマワリの向日運動(首振り運動)は若い植物と、1mを超えた植物とではかなり違うことが判っています。大きなヒマワリではそれまでに何度も向日運動を繰り返しているため向日運動の向きに「くせ」がついているようです。ですから朝、東を向いている大きなヒマワリを180°回して東向きの頂上部を西向きにすると、太陽は東から西に移動するにもかかわらず、ヒマワリは西から東へ向けて運動します。
きらりさんが用いたヒマワリはかなり大きなもので蕾がすでに出来ていると思われますが茎はまだ成長を続けていますから頂上部は昼間、東から西へと太陽の移動にともなって動き、夜には西から東へと戻ります。蕾の中で黄色い花が咲き始めると頂上部の西側への首振り角度が日毎に小さくなり東を向く様になっていき、全開花期には東を向いたまま首振り運動は停止します。これは茎の成長が終わったからです。きらりさんの実験は朝、鉢を90°回転したのですから、頂上部は南(時計回り:Aの鉢)あるいは北(反時計回り:Bの鉢)に向かされたことになります。大きなヒマワリはすでに回転前と同じ向きに首振り運動をする「くせ」がついていますから、太陽の動きとは無関係に同じ運動、Aでは南から北へ、Bでは北から南へと首を振り、夜にはその逆の動きをするはずです。翌日の朝にはA、Bはそれぞれ南、北を向いていることが予想されます。ここでまた90°回転するとA、Bともに頂上部は西向きにされます。「くせ」は数日続くようですから、2日目にはA, Bともに太陽の動きとは反対の運動をするはずです。きらりさんの実験ではどのような動きをしたのでしょうか? 
これらの観察結果はご質問の答えを考えるのに大切なデータです。
これまでのたくさんの研究では、ヒマワリの開花時には東を向いている確率が高いことが分かっていますが、すべての状況でもみな東を向いて止まるとは限りません。周囲に太陽の光を遮るものがある場合には、花が向く方向は変わりますが、上を向いて開花したとの記載は見つかりませんでした。おそらく、大きいヒマワリなので蕾も膨らみすぐに開花する状態のものを用いたこと、あるいはAとBの鉢周辺の光環境が違っていたかも知れないところに理由がありそうです。
ヒマワリの向日運動は茎の成長によっておこりますので若い植物においてもっともはっきりと観察されます。次の実験ではもっと若いヒマワリを使って、動きを観察しながら開花したときの向きを調べることをおすすめします。発芽後の苗の選別、発芽後の日数(実験開始時)、環境特に日の光の強さ、方向などを同じにし、長い期間に亘る連続観察、正確な記録が必要な課題です。いろいろ試してみれば、なにか新しい発見があるかもしれません。頑張って観察を繰り返して下さい。

ご質問はなされた実験の方法、結果などがよく分からなかったので簡単にお答えすることができないもので、同じJSPPサイエンスアドバイザーの庄野邦彦先生と何度も相談しながら作成したものです。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-08-18
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