一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ホウセンカに必要な光

質問者:   小学生   サクラ
登録番号4827   登録日:2020-08-10
ホウセンカを育てています。日光が必要だと思うのですが、なぜ葉っぱは、緑にみえるのかをしらべるうちに、赤、緑、青色の光の役割があるのでは、ないかと思い、先日また、ホウセンカの種をまき、赤、緑、青の下敷きを買ってきて、育てようとしています。
日陰で育てている、ホウセンカは背は伸びますが、花の数は少なく、日向は、背はあまり高くは伸びませんが、枝分かれは多く、花も多いです。今度、照度計をつかって、値を比較しようと思います。
ホウセンカを育てるのに、必要な光の特徴をまとめたいと思いますが、この方法は合っていますか?教えてください
サクラさん

みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
サクラさんの実験計画は、いろいろなことをよく考えていますが、大変難しい実験であり、普通の小学校に備えられている実験器具を使って、実験の結果を説明するのは困難でしょう。

[実験が難しいことの説明]
(なぜ難しいかは、みんなの広場「植物Q&A」のページの「検索」機能を利用して、「フィトクロム」、「フォトトロピン」(または「ホトトロピン」)を検索語として調べ、たくさんある回答の中から、例えば登録番号0274, 3015, 3619などをざっと目を通すと、参考になると思います。)

可視光線はプリズムで分解すると、虹のように赤色-菫色にみえますが、これは、ヒトの目が3種類の感光色素を持っていて、3者のバランスに依存して色覚が生じるためです。これに加えて、明暗を識別する桿状細胞も持っていて、こちらは緑色の光に対してよく応答します。光は粒子(光子)の性質も持っています。光の強さを簡便に測定するには照度計がよく利用されますが、その感度は市販品ではヒトの明暗の視覚に近いものがほとんどで、同じ数の光子を受け取っても、照度計に示される数値は、波長により異なります。緑色の光と青色の光が照度計で同じ目盛りを示したとしても、光子の数の比較では青色の方が多いということになります。このように、植物が受ける光子の数を比較測定するのは容易ではありません。光の波長ごとの強さを絶対的に測定する高度な装置も存在しますが、高校レベル以下ではめったに使用されません。サクラさんは色付きの光透過性の下敷きの利用を計画しているようですが、色違いの下敷きを透過した光の強度を絶対的に測定するのは困難でしょう。


[代わりの実験計画案例(光の色ではなく、白色光の強度差の効果を調べる)]
園芸用の遮光ネットを利用して、光の強さと植物の成長の関係を調べる。園芸店で黒い遮光ネットを買う。遮光率はあまり高くないものを選ぶ(例:遮光率40%-50%だと、概算で透過率は60%-50%と見積もられる。遮光率40%を例にとると、一重で遮光後の透過率は60% (0.6)、二重だと36%(0.6x0.6=0.36)程度見積もられる。照度計で、遮光後の照度、日陰に置いたものの照度を測定し、花の数、開花時期、成長の状況などを記録する。
これは一つの案なので、手持ちの測定器具を利用して、いろいろ工夫してみてはどうでしょうか。

櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-08-17
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