一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ハツユキカズラの葉の色の変化

質問者:   一般   不思議いっぱい子
登録番号4901   登録日:2020-10-21
マタタビやハンゲショウの葉は花が咲く頃白くなります。花の時期とは関係なく(?)ハツユキカズラ(栽培品種)の新葉が白色やピンク色になるのは何故ですか? そのメカニズムも教えてください。
不思議いっぱい子様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ハツユキカズラ(ウスユキカズラ)を育てておられるのですね。鉢植え?それとも庭のグラウンドカバーですか? 今の時期は淡いピンク、白、緑の新葉がいろいろな濃さでいり混じりとても美しいですね。私は庭の一部にグランドカバーとして植え込んでいますが、濃い緑の敷物のような葉の周囲から美しい新葉が伸びてきています。
すでにご存知かと思いますが、ハツユキカズラ(初雪カズラ: Trachelospermum asiaticum 'Hatuyukikazura)はテイカカズラの園芸品種です。ちょうど冬に入る頃に一番美しいように思います。さて、植物の葉の色はクロロフィル(緑色)、アントシアニン(赤色〜青色〜紫色)、カロティノイド(黄色〜橙色)によって決まります。どの色素が多量に含まれているかで、葉の色調も異なります。多くの植物は新葉の時から緑色(初めは淡い感じで、成長とともに濃くなっていく)を呈していますが、新葉(新芽)の時は赤っぽいものも多いです。花でも蕾の時はピンクでも開花すると白い花弁になる場合もあります(登録番号3785 を参照してください)。何故そうなのかといことは明確に証明されているわけではありませんが、次のような推測がなされています。新葉(新芽)はいわば生まれたての赤ちゃんのようなもので、葉(芽)の組織が十分に発達していない状態です。そのような組織でクロロフィルがいきなり多量に合成されて、その結果光合成が盛んに行われると、発生する活性酸素のために組織がダメージを受けてしまう。また、未熟な葉(芽)は紫外線によって損傷されやすいので、紫外線から守るためにアントシアニンなどの色素が役立っている。また、赤い色素は防寒効果があるなど(登録番号1567, 2053, 3041を参照してください)。
ご質問のハツユキカズラという特定の植物の新葉の色の変化を調べた研究報告は見つかりませんでしたが、おそらく同じように説明できると思います。
新葉には多分アントシアニンが含まれているが、新葉がある程度成長すると、葉の組織の細胞間隙(細胞と細胞との間)にある水での白色光の散乱によって葉は白色になります(登録番号1678, 3301を参照してください。)、その間アントシアニンは減少するかもしれませんが、クロロフィル量は徐々に増加し、最終的に葉は緑色を呈するようになります。
マタタビやハンゲショウの場合は葉の白色化が起きるのは花期です。このときは送粉のために昆虫を呼び寄せるのに役立っていると考えられています。ちなみにミヤママタタビは白色ではなくでピンク色になります。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-10-22
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