一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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季節外れの越年ユリ

質問者:   一般   山口
登録番号4955   登録日:2021-01-03
岐阜県多治見市に住んでいます。例年、野山や道端などに咲く野生の白いユリですがお盆前後に咲き始め9月いっぱいでほぼ咲き終わると思うのですが、1本だけ10月か11月に蕾みをつけているユリに気付き、気に留めてもいなかったのですが12月9日になっても咲いているので気になり、12月25日にみぞれが降っているのにまだ咲いています。暮れの30日の積雪で茎が傾きましたが年明け3日現在でもなんとか一輪咲いています。(塀のそばの舗装のない道路の中です)

放任された自然の中でこういうことは初めてですが植物生理学的に何が作用してのことなのかご教授頂けたら幸いです。
山口さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
多治見近辺に自生しているユリとすればおそらくササユリの仲間かと思います。通常は、8月くらいまでが花期ですが、ご質問の例は稀な特殊なものですので理由は分かりません。
園芸領域で「冷凍ユリ球根」が市販されています。方法の具体的なことは判りませんが球根を零下2度程度の半凍結低温で保存するもののようです。このような処理をした球根をゆっくりと解凍し、7月か8月頃に植えると花期が11月から12月頃まで遅くなるとのことです。
これは一種の冷凍保存で,冷凍開始時の生理状態を長期間保つ手法です。自然環境で1つの球根が局所的に半凍結がおこることはあり得ますが、その状態が7、8月まで継続することはあり得ません。
ある1本の植物だけの特殊な生理行動を解析することは至難のことで現段階では「その原因は結局判らない」とお答えするしかありません。しかし、このユリが毎年同じように秋にも開花するか、を調べることは解析の取っ掛かりになりますので大切です。場合によっては突然変異(何らかの遺伝子変異)によることも考えられます。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-01-12
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