一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹木の成長スピードについて

質問者:   公務員   パンペンナ
登録番号4997   登録日:2021-02-23
いちょうが街路樹の街道沿いに住んでるので、小さい頃から毎日いちょうを見て育ちました。
最近、いちょうを見ていて疑問に思ったことがあるので質問をしてみました。
15年前ぐらいに植えられたいちょうでだいたい同じ樹齢の木が植えられ、時期も同じなのに、木の高さや幹の太さがバラバラだと思います。
枝を業者さんが切っているのは見たことがあるのですが、木の先頭部分を切っているのは、記憶にないので、木の高さについては、植えた時からそのままだと思うのですが、なぜ木の高さ、幹の太さがそれぞれ違うのでしょうか?木の個性だと思うところもあるのですが、太さは、太いもの細いもの大きく差があるので、何か条件があって高さ太さは、決まって成長するのでしょうか?
パンペンナ 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。

同じ時期にだいたい同じ樹齢の幼木(イチョウ)が植えられたにも関わらず、成長のスピードに違いがあり、木の高さや幹の太さに大きな差が生じているとのことですね。一般論として言えば、樹木(植物)の成長は遺伝的な要因と環境的な要因によって左右されますので、二つの要因のうちのどちらか(あるいは両者)の違いが観察された結果を生んでいることになります。もし遺伝的に同じ幼木が植えられたのであったとすれば、生育に必要な栄養成分や水分を吸収し、また、植物体を支える役割を担う地下部(根)を取り囲む土壌の化学的・物理学的・生物学的な環境の違いに注目する必要があると思います。水田に育っているイネの背丈や平野の人工林の樹木の揃い具合などとの対比の目で見ると、問題にされているイチョウ並木の不揃いは土壌環境に起因すると考えるのが自然のように思えます(イチョウ並木の広範囲の領域で土壌環境が均一であるとは思えないので)。もちろん、場合によっては、生育に必要なエネルギーや機能調節のシグナルを供給する太陽からの光の当たり具合や栄養源としての二酸化炭素の供給や蒸散に影響を与える大気に流れなど、地上部が曝されるローカルな気象条件が要因となっている可能性は否定はできません。また、幼木が如何にして作出されたか分かりませんが、もともと遺伝子型に差異があったことも完全には否定できないのかも知れません。剪定の影響も場合によっては考慮する必要があると思います。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-03-06
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