一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花びらの不思議

質問者:   会社員   かず
登録番号5016   登録日:2021-03-12
花びらについて調べると、水滴を弾くロータス効果と、水滴をつかむペタル効果の相反する作用があるとあります。
水滴を弾く効果は、産業でも応用されて汚れを簡単に落とすとありますが、水滴をつかむ効果は、花にどんなメリットがあるのでしょうか。花びらから水分補給するためなのでしょうか?
かず さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
花弁や葉に雨などが降った際に見られるロータス効果とペタル効果は基本的に物理的現象として実証されています。しかし、ハスの葉を予めアルコール処理などで表面ワックスを除去すると、表面の物理的構造は変化しないにもかかわらずロータス効果は無くなりペタル効果を示すようになることが分かっていますので、表面のワックスなどもロータス効果に寄与しているようです。ハスの葉の表面にはびっしりと毛が密生しています。また、ペタル効果を示す、例えばバラ花弁の表面にもハスの毛とは形状は違いますが毛がありその密度はハスよりも粗いものです。この毛の密度(毛と毛の間隔)の違いが両効果の違いの主要な物理的要因となっています。
ご質問の要点は、花弁が水をある程度保持する(ある角度で傾けても水塊が落ちない)ペタル効果は花弁からの水吸収に貢献しているかどうかと思われますが、葉、花弁などの地上部の器官表面からの水分吸収は表面が「濡れ」ればある程度おきますが、主要な水吸収機能ではありません。殆どの地上部表面はクチクラ、ワックス層など疎水物質で覆われているので水吸収は起こりにくい構造になっています。とは言え、葉でも花弁でも気孔があることや疎水層の厚さなどは一様でないので水の吸収は可能です。地上植物の主要な水補給は根の水吸収とその地上部への移動によります。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-03-29
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