一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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木の幹の割れ目の回転

質問者:   高校生   シミズ
登録番号5075   登録日:2021-05-16
質問です。先日、高尾山を登っている際に、そこに生えている木の幹のひび割れが、根に近い部分から、枝のある上にかけて、左向きに回転しながら、木が成長している事に気が付きました。この現象の理由を教えて頂きたいです。宜しくお願い致します。
シミズ様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

樹木の年輪を構成しているのは、道管、仮道管、木部繊維などです。これらの細胞は幹の軸に平行に配列していると思いがちですが、軸に対して平行なのは稀で、多くは幹の軸に対して数度の角度をもって上に向かっています。中には40度になることもあるそうです。若い針葉樹で、最初は左らせん状ではじまり、10年くらいたつと幹にたいして平行になり、25年くらいたつと今度は右らせん状の配列なる例も知られています。
木材を割ってみる、年輪として見える面と垂直の方向(樹木の幹に平行)に裂け易いことがわかります。細胞の配列がらせん状になるのは、急激な乾燥などで加わる圧力によって幹が裂けにくくするのに役立つことや、水や養分を全体に均等に提供するのに役立っていると考えられています。
シミズさんが見られた、らせん状にひび割れが入って生長している樹木も上記のことと関係があるのではないかと思います。
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-06-03
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