一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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朝顔の花びらが日没を感知する仕組み

質問者:   小学生   さくら
登録番号5176   登録日:2021-08-02
小学校5年生の女の子です。
朝顔の体内時計について興味があったので、インターネットで調べたら、朝顔は、日没から約9時間後に花を咲かせることを知りました。そこで、夏休みの自由研究で、朝顔が日没をどこで感じているのか調べました。すると、日没後1時間半後につぼみを取ってきて、花びらの色がついた部分と白い部分の間で切って、水に挿したら、両方とも朝には開いていました。
なので、花びらのどのような働き等で日没を感じているのか教えてください。

因みに、午前中に取ったつぼみを暗くて涼しい所に移動させると、およそ9時間後の夜に咲いたので、日光や気温が日没を感じるのには必要だということも分かりました。
さくら様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

 生物時計について興味があるということですが、生物時計がどのようなものか勉強しましたか?最初に、ごく簡単に説明しますと、例えば、インゲンマメの葉は日中は上に持ち上がっていますが、夜になると垂れるという反応を繰り返します。これだけをみると明暗に反応しているようにみえますが、明暗に対する反応を繰り返しているインゲンマメを暗所に移しても、ほぼ一日の周期で葉の上下運動を繰り返します。このようなことから、生物の体内にはほぼ一日を周期とした自律的なリズム(概日リズムといいます)があることがわかります。一日の長さを時計で測っているようにみえますね。
 アサガオの花が開くのに概日リズムが関係していることを調べるのには、蕾をたくさんつけたアサガオを暗い場所にずっと置いてみるとわかります。次の朝に開きそうな蕾は暗いところに置いてから9時間後に開きますが、その次の日に開きそうだった蕾はその約24時間後に開きます。また、次の次の日に開きそうだった蕾はまたその約24時間後に開きます。
 日没で概日リズムのスイッチがONになり、その後連続した暗い時間が9時間になると蕾が開くわけですが、蕾のどこで日没と連続した暗さを感じているかを調べたということですが、面白い実験ですね。しかし、実験の方法には疑問を感じました。色のついているところと白いところのさかいで切断したということですが、色のついているところは花弁がたたまれているので、開いたかどうかはわかると思いますが、白いところは筒状ですから、開いたかどうかを決めるのは難しいのではないでしょうか?そこで実験の代案ですが、蕾の全体、あるいは部分(色のついた部分か白い部分)をアルミホイールなど遮光できるもので覆って、明るいところに置くというのはどうでしょうか?9時間の暗い時間の間に光が当たると花が開く時間が大幅に遅れることがわかっています。
 ところで、因みにというところですが、実験結果は良いと思うのですが、日光が日没を感じるのに必要というところがよくわかりません。暗いところに移す前に明るいところに置くことが必要ということでしょうか?気温が涼しいということが必要ということですが、何度くらいでしょうか?温度を変えて花が開く時間に関係があるか、どのような温度だったら影響があるか調べてみるのも面白いですね。概日リズムはあまり影響を受けないことが知られています。 
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-23
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