一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アサガオ色変わりについて

質問者:   一般   ゆきうさぎ
登録番号5179   登録日:2021-08-03
アサガオの色変わりについて教えてください。小学1年生の子供の宿題でアサガオの観察をしておりました。青色のアサガオの色が変わるのでとても不思議に思い調べております。色変わりについては過去の質問を参照させていただきました。
それを踏まえて、今回私のほうで、青いアサガオの花びらを小さく切って酸につける、また、赤いアサガオの花びらを小さく切ってアルカリにつける実験を行いました。酸は酢、アルカリはハイターを使用しました。
青いアサガオの花びらを酸につけますと、花びらの色がピンクになりますが、赤いアサガオの花びらのような赤にはなりませんでした。一方赤いアサガオの花びらををアルカリにつけますと青いアサガオと同じような青い色に変化しました。
アントシアニンの酸の色は赤であり、どうして青いアサガオを酸に入れたのに赤にならずピンクどまりであるのか不思議です。咲いているアサガオも青いアサガオはしぼみ時、ピンク、紫ぐらいの色の変化で赤いアサガオのような赤色に枯れるということはないのも不思議です。ただ、自然界では薄まって酸も強くないとも考えられますので可能性はあるのかなと思っております。
ですが酢であれば酸が強いと思いますので、赤になってもいいと思ったのですが赤にはなりませんでした。

青いアサガオにより青にするなにかがまだ残っていてピンクになるのか、はたまた赤いアサガオにより赤くする何かが働くため赤が濃く出るのかどうかもしくはほかの要因なのか、ぜひご教授お願いします?
どうぞよろしくお願いします。

ゆきうさぎ 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。ご質問にはアサガオの花の色についてお詳しい名古屋大学の吉田久美先生から下記の回答文を頂戴しました。参考になさって下さい。

【吉田先生からの回答】
品種によって含まれるアントシアニンは異なりますので、確実な返答ではありませんが、次の三つの場合が考えられます。

1)青いアサガオと赤いアサガオでは、含まれるアントシアニンの化学構造が異なることが予測されます。同じpHしても、化学構造が異なると、若干発色は変わります。これは、強酸性の化学種、中性の化学種、アルカリ性の化学種との間の平衡定数の違いによります。また、単一の色素ではなく数種の色素が混ざっていることも可能性としてあります。さらには、助色素と呼ばれる無色ではありますが、アントシアニンと共存すると色を変えたり安定化させる機能を持つ分子が関わっている場合にも、色に影響します。

2)食酢は、おおよそpH3程度ですから、けっして強酸性ではありません。酸の強さが理由かもしれません。

3)赤とピンクの色の違いは、色味(色相)は同じでも、色の濃さの違いであることも考えられます。厳密には、吸収スペクトルを測定して、吸収極大波長や吸収帯の形を比較する必要があります。
吉田 久美(名古屋大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2021-08-23
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