一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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色の種類で吸水のスピード

質問者:   小学生   うたね
登録番号5200   登録日:2021-08-14
質問よろしくお願いします。
自由研究にて花の吸水実験をしています。
その時に気になった事は、色の種類で吸水するスピードが違うのはなぜかという疑問になりました。(赤・青はすぐに色付き紫・黄が遅れていた)
調べてみてもわからなかったので、もしわかれば教えてほしいです。
よろしくお願いします。
うたね さん

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。

「吸水のスピード」とされていますが、実際には、毛細管である道管を通って花や葉の組織に広がって行く水の流れと色のついた物質(色素)の流れとの間でスピードに差ができているものと思われます。差ができる原因としていくつかのことが考えられますが、主には色素の水への溶けやすさ(水との仲の良さ)の性質が関係しているものと考えられます。

「水と油の仲」という言葉があり、水と油は交じり合わないものとされていますが、水や油との仲の良さ(水や油への溶けやすさ)には物質によって程度の違いがあり、「水に溶けやすいものは油に溶けにくい!、油に溶けやすいものは水に溶けにくい!」という関係にあります。実験で使った色素はすべて水に溶けやすい性質をもっているものと思われますが、それぞれの色素の間には水への溶けやすさの程度に違いがあり、その違いが見かけのスピードの違いを生んだ可能性があります。何故かと言えば、毛細管である道管を通る物質の流れにおいては、水に溶けやすい物質ほどスピードが速く、水に溶けにくい物質は遅くなる傾向があるからです。

混ざった物質を分ける方法として「ペーパークロマトグラフィー」と呼ばれる専門的な操作があるのをご存知でしょうか。この方法を示す簡単な実験として、次のようなことができます:①厚めの和紙(できれば、理科の実験で使う「ろ紙」)を四角に切り、②端から(例えば)1cm位のところに水性の色サインペンでしるし(点)をつけ、③毛細管現象を利用してで端から紙に水をしみこませてみてください。まずは、水の流れと色素の流れに差ができることが分かると思います。色ペンによっては色が何色かに分かれてそれぞれに違った速さで紙にしみこんで行くのが観察されると思います。工夫をして、自由研究で使った色素でも同じような実験をし、色素の移動の速さを比べてみてください。これがヒントになるかも知れません。

なお、見かけのスピードと色彩との間には直接の関係はありません(色素がどのような化学的な性質をもった物質であるかが問題です)。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-09-07
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