一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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藤の花の異型花について

質問者:   自営業   ゼロハーツ
登録番号5363   登録日:2022-04-19
近くの公園に藤が咲いていたのですが、一つの花房の中に、形の違う 二種類の蕾が着いていました。
片方は 既に咲いている花と同じ形の、二枚貝を縦にした型のものでしたが、それとは別の 徳利型の蕾が複数 (花房の先端を中心に) 着いていました。

(参考画像/Twitter→https://mobile.twitter.com/6lBvvV7C8dwZBHT/status/1516401986614169603)

藤に雄花・雌花があったかな? と思い、画像検索など してみましたが、それらしい物が 見つかりませんでした。

徳利型の蕾を割ってみましたが、花びらが 左右対称でなく、バラのように 重なって入っていました。
しかし、それが咲いたような花は 見つけられませんでした。

公園内の 複数の蔓で見られましたが、他の場所の藤では 見つかりませんでした。

この徳利型の花は、何かの異常 (虫など) によるものでしょうか?
または、そういう花をつける種類の藤が あるのでしょうか?

初めて気付いたので、気になって 質問させて頂きました。
宜しくお願い致します。
ゼロハーツ様

こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「藤の花の異型花について」にお答えします。

写真を拝見しました。確かに通常と異なる蕾がいくつか着いていますね。実物を調べてみないとわかりませんが、蕾を割ってみたところ花弁が「左右対称でなく、バラのように重なって入っていた」ということなので、八重咲もし、八重咲変異であるならば、開花すればわかることですが、これが咲いたような花は見つけられなかったのですね。この形の蕾は花房の先端を中心に着いていたとのことですが、フジの花は花房の基部から先端に向かって順に咲いていくのでこれから開花するかもしれません。開花を観察する機会がありましたら、どのような花か良くご覧になってください。
一重の花が突然変異で八重咲に変化することはよくあることで、特に園芸植物では見栄えの良い八重咲は大事に保存されるので様々な種で見られます。ただし、フジの八重咲はあまり見かけないようで、私もこれまでに一か所でしか見たことがありません。
八重咲変異であろうという推測に対して否定的な事実は、一つの花房の中に正常のものと一緒に着いているということです。変異体であれば、一つの花房、一つの個体の全てが同じ変異を示すのが普通です。ただ、花の形態に変異の多いアサガオでは、一つの個体に八重咲の花と正常な一重の花が同時に着くことはよくあることなので、このフジの場合も共存するのかもしれません。
八重咲花ではないとすれば、「何かの異常 (虫など)」かもしれません。丸く膨らんでいるように見えるので、昆虫の寄生によって出来る虫えい(虫こぶ)であることも考えられます。虫えいならば中にハチなどの幼虫やアブラムシなどがいるはずですが、蕾を割ってみたときそれらは見つかりましたか?
ちなみに、フジの花は両性花ですので雄花・雌花の別はありません。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-04-22
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