一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花は枯れる際に特徴的なことが起こるのでしょうか?

質問者:   一般   まなつ
登録番号5523   登録日:2022-12-05
一般論として、花きが枯れてしまう際、花の体内において、例えばある物質が多く発生する、ある酵素の占有量が増えるといった事象が起こるなどはあるのでしょうか。フラワーロスに関心があり、質問したような観点が生物学上あるのであれば、その事象を捉えた発想が出来ないかと質問させて頂きました。
まなつ様

こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「花は枯れる際に特徴的なことが起こるのでしょうか?」にお答えします。

 一般に花が枯れるとき、花弁の細胞内で植物ホルモンの一種であるエチレンが発生します。エチレンの作用によって細胞の老化に関与する酵素が増えて、花の老化の過程が進行します。これらについては本質問コーナーの登録番号4995などをご覧ください。
 フラワーロスに関心がおありとのことですが、食品ロスの場合と同様、生産、流通、消費などの面から農業経営学的な対策がとられていると思います。植物生理学の立場からは何が出来るかと言えば、花の寿命を長引かせるか、廃棄せざるを得ない花を有効利用する方法を探すことでしょうか。前者に関しては、上述の老化の原因物質であるエチレンの生合成を阻害する、またはその生理作用を阻害する薬剤の利用や、エネルギー源としての糖の添加が有効であり(登録番号1004など)、すでに実用化されているものがいくつもあります。後者に関する植物生理学的な対応策は思い当たりません。「花が枯れる際に何らかの物質または酵素が増えるか」とのご質問の真意は、そのような物質があればそれらを取出して有効利用できないかとお考えなのでしょうか?もしそうであるならば、この場合の生体内変動はわずかなものであり、その抽出・利用は容易ではないでしょう。あるいは、押し花やドライフラワー、プリザーブドフラワーなどでの利用をお考えでしょうか?そうでしたら、色素の酵素的分解を抑制するなどの別の観点からの考え方が必要かと思います。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-12-11
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