一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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エンドウのおしべについて

質問者:   小学生   ゆか
登録番号5580   登録日:2023-03-14
エンドウのおしべは、なぜ一本だけ離れているのでしょうか?
ゆか様
 
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「エンドウのおしべについて」にお答えします。

 エンドウの花の雄しべは10本ありますが、そのうちの9本は下のほうがたがいにくっついて一束になり、1本だけが離れています。同じ仲間のマメ科の植物の多くでも、9本の雄しべが束になり、1本が離れています。
 なぜ1本だけ離れているかというと、つぼみが作られはじめるとき、雄しべになるものが10個作られるのですが、それらが大きくなって雄しべになるとき、1個だけをのこして9個がたがいにくっつくような仕組みがあるからです。その仕組みがどのようなものかはまだわかっていません。
 それから、1本だけが離れていることにどんな意味があるのかというと、これも難しい問題で、わかっていません。
 雄しべのやくわりは、花粉を作って雌しべにわたし、種子を作ることです。花粉を雌しべにわたす方法にはいくつかありますが、昆虫にはこんでもらう花もあります。そのような花の雄しべには昆虫の体に花粉をつけやすいような仕掛けがあります。1つの花の中に場所や形や長さがちがう雄しべがあれば、それらのどれかが花粉をうまく昆虫につけられるでしょう。このコーナーの登録番号3063や登録番号3608を見てください。くわしい説明があります。
 ところが、エンドウは自花受粉をするのです。自花受粉とは、自分の花の中で花粉のうけわたしをすることです(登録番号1731を見てください)。ですから、昆虫に花粉を他の花にはこんでもらう仕掛けは必要ありません。では、雄しべが1本だけ離れていることが自分の花の中で花粉のうけわたしをすることに役だっているかというと、それはわかりません。
 植物の形にどんな意味があるのか、ということを実験でしらべるのは難しいので、わかっていないことはたくさんあります。
 また、どんなことにもかならず何かしらの意味があるとはかぎりません。長い進化の中でたくさんの変化がおこってきましたから、必要のないものが残っていることもあるのです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-03-31
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