一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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タマネギ

質問者:   その他   ひかり
登録番号0613   登録日:2006-04-26
タマネギの目にしみる物質は何ですか?
ひかり さん:

「タマネギを切りながら泣いている」と表現されるくらい、切ると目にしみますね。 ところがタマネギそのものを眼に近づけて目にしみることはないですね。タマネギはユリ科ネギ属の植物でアリイン(Aliin)という物質を含んでいます。これはネギ属植物に特有の成分でネギ属Alliumにちなんで名前がつけられ、ニンニクにもたくさん含まれています。アリインは硫黄を含んだ低分子物質で揮発性は高くありません。ところが、タマネギを切るとアリイナーゼという特殊な酵素の働きでほぼ半分に切られアリシン(Allicin)という化合物を生成します。このアリシンはアリル基と硫黄からなる揮発性の化合物でタマネギ、ニンニクなどの刺激臭の原因物質となっています。タマネギ細胞の中にはアリインとアリイナーゼがありますが細胞内で別々のところにあります。組織を切ると細胞が壊れ、それまで離れていたアリインとアリイナーゼが混ざり合うためアリシンが生成するという仕組みです。リンゴやジャガイモを切りそのまま放置するとやがてと切り口が茶色に変色することと同じ原理です。硫黄を含む低分子物質は一般に「嫌な臭い」のものが多く、腐った玉子や温泉源の刺激臭も硫黄化合物です。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-09-09
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