一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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でんぷん粒は液胞?

質問者:   中学生   あべ
登録番号0062   登録日:2004-05-11
液胞は「物質の貯蔵庫」ということですが、ジャガイモのでんぷん粒は、液胞にでんぷんが貯蔵されたものと考えてよいのでしょうか。
あべ さん

 ご質問について、植物細胞の中で行われている物質輸送について研究をしている三橋尚登博士に回答してもらいました。

 液胞は、「物質の貯蔵庫」といわれる通り、その中にたくさんの種類の物質を貯蔵する機能をもっています。しかし、でんぷんを貯蔵する機能はありませ ん。でんぷん粒の正体は、アミロプラストです。昼間、光合成を行うことによって葉の細胞にある葉緑体の中で合成されたでんぷんは、夜の間に分解されて糖 になり、維管束を通って根、地下茎、種子、ジャガイモの塊茎などの貯蔵器官に輸送されます。貯蔵器官の細胞には、たくさんのアミロプラストがあり、その 中で再び糖からでんぷんが合成されます。合成された大量のでんぷんがアミロプラストの中で大小の粒を形成し、これをでんぷん粒と呼びます。葉緑体とアミ ロプラストはどちらも色素体と総称される細胞小器官(オルガネラ)ですが、葉では葉緑体、ジャガイモの塊茎ではアミロプラスト、といった具合に構造や機 能を大きく変化させることによって、うまく使い分けられていることが分かります。

 三橋 尚登(神戸大学)
広報委員長、神戸大学
三村 徹郎
回答日:2006-10-23
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