一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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パンジーの花の真ん中が黄色いのはなぜですか?

質問者:   その他   原田野乃
登録番号0636   登録日:2006-05-07
学校の宿題で、疑問に思ったことを調べてくるように言われました。
パンジーの花をよく見ると、みんな真ん中が黄色いのですが、それはなぜでしょうか?
図書館でも調べたのですが、わかりませんでした。

どうしてなのか、教えてください。

原田 野乃さま

 おまたせしました。原田さんがみんなの広場にお寄せ下さったご質問の回答を京都大学名誉教授の河野昭一先生にお願いしていましたが、以下のようなご丁寧な回答を頂きました。少し難しいかも知れませんが、頑張って讀んでみて下さい。


河野先生のご回答

花には、黄色や紫や、赤や白など、いろいろなものがありますね。ヒトの目には、さまざまな色に見えますが、花を訪れる虫たちにも同じ色に見えているのでしょうか?
私たちヒトと目は、赤、緑、青の三原色と、その組み合わせからいろいろな色を識別していますね。しかし、くわしく調べてみますと、虫たち、特にハチの仲間は、ヒトの目には見分けられない”紫外線”の部分(波長)を識別していることがわかってきました。もし、パンジーの黄色の部分で、紫外線の波長を吸収していると、私たちヒトには見えない模様が虫たちには見えている可能性があります。多くの植物の花には、甘い蜜(みつ)を出す腺細胞を花びらの基部にもっており、虫たちをそこへ引きつけて、吸蜜した時に体に花粉をくっつけて運んでもらっているのです。
カタクリという植物を知っていますか?春の野山に咲く、赤紫の花を1個咲かせるユリの仲間の花ですが、紫外線を通すフィルターで撮影してみますと、花全体で紫外線を吸収していることが判って来ました。ハチたちは、紫外線の波長を吸収しているこの特別の模様を識別していることがわかってきました。どうりで、野外で観察にしていますと、ハチたちはまっしぐらにカタクリの花をめがけて飛んできます。蜜をだす腺は、花びらの基部にありますが、そこを目がけて飛んでくるのです。キク科のハンゴンソウ仲間は、人の目にはすべて黄色の花をしていますが、紫外線フィルターをつけて撮影した花には、それぞれ種類によって違う独特の紫外線の吸収の模様があります。これが虫たちを引きつけているシグナルなのです。
パンジーを花を、紫外線フィルターを使って撮影したら、どんな模様がみえるでしょうか?大変、興味がありますね。未だ、だれも調べたヒトはいないようですね。花の色の世界には、まだまだたくさんの謎がありますね。

河野 昭一(京都大学名誉教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-05-18
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