一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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動物細胞にも液胞はある?

質問者:   その他   高木雅美
登録番号0666   登録日:2006-05-13
液胞は植物細胞特有のものであると思うんですが生物学の教科書の動物細胞の図に小さいながら液胞が書かれていました。
これはどうゆうことなのでしょうか?
高木雅美さま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡です。液胞はもともとは光学顕微鏡で観察可能な中身がからっぽなものを指しており、現在でも普通に液胞といった時にはこのようなものを指します。こういう意味での液胞は正常な動物細胞や未分化の植物細胞にはありません。しかし、細胞を電子顕微鏡で観察するようになりますと、大きさはとても小さいのですが、構造としては液胞とよく似たものが動物細胞にも植物細胞にもあることが分ってきました。代表的なものはファゴソームで、日本語では貪食液胞と呼ばれています。これはいろいろな種類の加水分解酵素をふくんでいるリソソームとよばれているものと合体して、消化胞(消化液胞とか2次リソソームともいいます)を形成します。消化胞は細胞が外部から取り込んだものとか、細胞内で不要になったものをその中に取り込んで消化するためのものです。普通の液胞の中には何も見えないことが多いのですが、消化胞の中には、しばしば消化されて壊れかかったミトコンドリアとかゴルジ体が観察されます。教科書の動物細胞の図の中に描かれている小さな液胞はこんなものだと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-05-18
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