一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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リソソームと液胞の特徴

質問者:   中学生   宮崎
登録番号0696   登録日:2006-05-21
動物などにあるリソソームと植物などにある液胞の共通点と相違点を教えて下さい。
宮崎さま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。ご質問の中にある“動物などにあるリソソームと植物などにある液胞”というところから始めます。リソソームは動物細胞の中だけでなく、植物細胞の中にもあります。液胞は植物細胞の中にありますが、光学顕微鏡で観察出来るくらいの大きさの液胞を持っているのは大きく伸長した細胞で、若い未分化な細胞にはありません。リソソームには1次リソソームと2次リソソームがあります。1次リソソームはいろいろな加水分解酵素を含んでいますが、これだけではなにもしないので、液胞と比較することはできません。この1次リソソームはファゴソームと呼ばれるものと合体して2次リソソームになります。ファゴソームは日本語で貪食液胞と呼ばれており、細胞の中の不要物(または外から取り込んだ物)を取り囲みます。そこに1次リソソームが合体し、1次リソソームの中の加水分解酵素が不要物と接触するようになると、不要物の分解が始まります。液胞と比較されるのはこの2次リソソームです。2次リソソームの働きは、不要物の分解です(飢えてくると不要でないものでも分解します)。液胞にもこの2次リソソームと同じような不要物を分解する働があります。植物細胞では不要物を消化しつつある2次リソソームが液胞の中に取り込まれて行くことが観察されています。液胞は不要物を消化するだけではありません。液胞の中には糖、アミノ酸、塩類などが含まれており、そのような物を貯蔵する役割も持っています。また細胞にとって有害な物質ができると、液胞の中に送り込むという解毒の働きもします。液胞の中には、糖や塩類が溶けているので、何も溶けていない水が細胞の外にあると、水は液胞の中に入って行きます。植物の細胞は細胞壁というもので囲まれていますが、液胞の中に水が入るとこの細胞壁に内側から圧がかかり、細胞は張り切った状態になります。またこの圧は細胞が大きくなるための原動力でもあります。液胞は細胞が張り切っているためや、細胞が大きくなるために、なくてはならない存在なのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-05-23
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