一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カイワレ大根の成長

質問者:   その他   匿名希望
登録番号0726   登録日:2006-05-31
学校で、カイワレ大根が「光」や「重力」に対して動くかという観察をしました。

カイワレ大根は「光」を求めるように光の方向へ曲がっていきました。
これは「光屈性」によるものだということが調べて分かったのですが、この「光屈性」がイマイチ分かりません。
詳しく教えてください。

また、カイワレ大根は、私の予想に反し、重力に逆らうように上に伸びていきました。
これはなぜですか?教えてください。
匿名希望 くん

ご質問で「カイワレ大根」と表現している部分がどの部分か分からなかったため、メールで問い合わせたのですがお返事がないので地上部(つまり食べる部分)としてお答えします。大阪市立大学の飯野盛利先生に伺いながら回答を作成したものです。

植物の地上部が光の来る方向へ屈曲することを屈光性(光屈性)と言います。窓際などにおいた植物はより明るい方へ曲がりますが、これは光があたった側の部分ととその反対側との伸長成長の違いによるものです。光があたる側にある細胞の伸長は遅く、反対側(暗い側)にある細胞の伸長が早くなるために光の方に屈曲するのです。
4列縦隊の隊列で右側の人が早く歩けば隊列が左側に曲がることと理屈は同じことです。このとき植物は茎先端で光を感じ、実際に伸長する場所はもう少し下の伸長帯と呼ばれる部分です。植物の先端に黒い帽子をかぶせて横から光をあてても屈曲しませんが、実際に曲がるところに覆いをして先端だけに光を横からあてれば屈曲します。
この現象は、進化論で有名なチャールス・ダーウィンがその息子フランシスとの共同で1880年に科学論文として発表したもので、植物ホルモンの発見につながる重要な研究です。
「カイワレ大根は、私の予想に反し、重力に逆らうように上に伸びていきました。」この意味が分かりません。茎はふつう重力に逆らって真っ直ぐ上に、根は重力の方向へ(下の方へ)成長する性質をもっています。カイワレダイコン全体を水平におくと、茎は立ち上がるように屈曲(負の重力屈性)しますが、根は反対に下の方に屈曲(正の重力屈性)します。「カイワレ大根」の意味を根の部分とすると、どのような状態なのか分かりませんのでお答えすることができません。ただし、カイワレダイコンを種子から発芽させるときに近くでガスが漏れていたりすると根が上向きになることがありますが、これは異常な状態です。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-06-12
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