一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物のからだについて。

質問者:   その他   芙美
登録番号0734   登録日:2006-06-04
授業で、植物のからだは根、茎、葉で出来ていて、どの植物にもだいたい当てはまると習いました。
そして、葉は何処からが葉なのか?をみんなで考えました。
その結果は、葉は托葉という部分からが葉だということを調べ当てました。
ここで私は、茎と根についても何か特徴的な区別があるのか不思議におもい、図書館で調べました。

ですが、茎と根の違いがよくわからなくなるばかり。
どちらも植物を支え、養分や水を通す維管束を持ってますよね。

そこで、2つ質問をしたいです。
1つは、根と茎の違いは何か。

根と茎の違いは、維管束の形が異なっていること。と本に書いてありました。
でも、その違いから根と茎を判断するには、植物の全ての箇所を輪切りにしないといけないですよね?
もっと、葉の様に見るからに境界がわかる特徴があるのでしょうか?

2つ目は、大根やカブにある、根と茎の間にある胚軸というものについてです。
胚軸は茎でも根でもないんですか?

よろしくお願いします。
芙美 さん:

ドイツの植物学者エデュアルト・シュトラスブルガー(Eduard Strasburger)が1894年に著した植物学教科書の「根」の第1行は「根には葉がない」からはじまっています。根と茎の決定的な違いは「葉が出るか出ないか」ということができます。ダイコンやニンジンのように根から直接葉が出ているように見えるかもしれませんが、根の上部に短い茎がありそこから葉が出ています。解剖学的には維管束の配列が違うことはご指摘の通りです。
2番目のご質問「胚軸」は何かですが、胚軸とは植物が発生の段階で形成する「子葉」と「幼根」との間にできる茎状の部分です。受精した卵が細胞分裂を繰り返して幼植物を形成して種子となりますがその過程で「幼根」と「子葉」との間に形成される茎のような器官です。発芽するとほとんど成長しないものやある程度成長するものがありますが、茎は子葉の間にある成長先端から形成されるものです。ダイコンやカブは種子が発芽すると子葉の下にある胚軸もある程度伸長し根の部分と一緒に肥大してしまうので、解剖学的に大根や蕪の上部は胚軸部分、下部は真の根ということになります。胚軸は胚軸で、茎でも根でもありません。
 ご質問ではありませんが葉と茎を調べたら「葉は托葉という部分からが葉だということを調べ当てました」とありますが、植物学上の葉と茎の区別は非常に難しく昔から諸説があり、葉と茎とを一体とした「苗条(シュート)」という考えが使われていること、托葉はすべての植物にあるものではないこと(例えば裸子植物にはありません)を知っておいて下さい。もちろん私たちでも普通に葉に見えるものを葉、茎に見えるものを茎と区別して言っていますが、とくに葉を厳密に定義して言っていません。茎のように見える葉、葉のように見える茎もありますが、これらは解剖学的な違いから区別しています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-06-12
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