一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

アルストロメリアの雄しべと雌しべについて

質問者:   中学生   パンジー
登録番号0752   登録日:2006-06-07
学校でアルストロメリアの観察をしたところ、雄しべが花粉を出していても、雌しべが完全に生長していないものが多くありました。
これでは、花粉を出している意味がないと思うのですが、では何故雄しべと雌しべの生長する時期は異なっているのでしょうか、教えてください。
どうぞ宜しくお願いします。ちなみに僕は、この理由を他花受粉しやすくする為だと考えました。
パンジーさん

 担当の柴岡です。パンジーさんはパンジーだけでなく、いろいろな植物に興味があるのですね。ととも良いことです。また素晴らしい観察をしましたね。さらに、観察結果に対する考察もみごとです。パンジーさんが考えられたように、雄しべと雌しべの成熟する時期がずれているのは、他家受粉しやすくするため、もう少し正確にいうと、自家受粉を防ぐためです。これでパンジーさんのご質問に対する答えはおしまいのようなものですが、せっかく質問して下さったので、すこし、これに関連したことを書いてみます。雄しべと雌しべの成熟時期が同じ場合、雌雄同熟、パンジーさんが観察なさった例のように雄しべと雌しべの成熟期が異なる場合、雌雄異熟と言い、雌雄異熟の中でアルストメリアのような雄しべが雌しべより先に熟する場合、雄しべ先熟、これとは逆に雌しべのほうが先に成熟する場合を雌しべ先熟といいます。雌しべ先熟の身近の例はオオバコで、花が咲く前に雌しべだけが外にでてきます。雄しべ先熟では、キキョウが良く上げられる例で、まず葯(花粉の袋)が割れ、出て来た花粉は雌しべの毛にくっつきます。雄しべは萎れて倒れ、花粉は他の花へ運ばれます。そのあと柱頭(雌しべの先端)が開き他の花からの花粉を受けるようになります。自家受粉を防ぐ仕組みについては、この他に、自家不和合性といって、雌雄同熟で、自分の花粉が柱頭につくことがあっても、自分の花粉は、発芽できなかったり、発芽しても花粉管がの伸びられなかったりする現象が知られています。また、いろいろと観察を続け、面白いことがあったら教えて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-06-08
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内