一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アルカリ性の土壌pHについて

質問者:   その他   匿名
登録番号0795   登録日:2006-06-18
炭酸カルシウムを加えた砂質土壌のpHを測定したところ、7.3程度にしかなりませんでしたが、これはアルカリ性の土壌と言えるのでしょうか。
確かに何も加えない状態の当該砂質土壌(pH5.5程度)に比べて、pHは上がっているので、アルカリ側に近づいたと言えると思いますが、アルカリ性土壌ではないのでしょうか。
またこの程度のアルカリ化によって、Mn、B、Fe、Znの不溶化による植物の欠乏症は起こるのでしょうか。
匿名 さん

 酸性土壌による生育阻害(カチオンの溶脱による無機養分の欠乏や有害なアルミニウム・イオンの溶解など)を回避するため炭酸カルシウムを施用するのは一般的な方法です。この施用によって土壌pHが高くなったのですから、雨水によって土壌から溶脱したカチオンがカルシウム・イオンで置換され、また、土壌中の酸性成分、硫酸基などがカルシウムで中和されるなどの機構でpHが上昇したと思われます。どの土壌pHからアルカリ性土壌とよぶかについては特にはっきりした定義がありませんが、雨の少ない地方の土壌では過度に塩類が集積して塩障害が生じやすく、また無機養分の吸収が低下します。ご質問にあります無機養分の吸収阻害はこの程度のpHでは余り生じないと思われますが、これは土壌の性質と密接な関係があるためどの程度、炭酸カルシウムを加えれば植物栽培に適当かはその地域の慣行施用量を参照し、また改良普及員など経験者に相談されることをお勧めします。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-06-29
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