一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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自家不和合性を自分でできる実験で証明したい

質問者:   中学生   夏姫
登録番号0927   登録日:2006-07-28
花スベリヒユについて継続研究をしています。
これまでの実験・観察で花すべりの閉花時刻に受粉/送粉が影響していることをつきとめました。
受粉しても閉花時刻にばらつきがあるのは 受粉しても発芽できなかったり、発芽しても花粉管が伸びられなかったりする現象が影響しているのではないかと予想しています。
めしべについた花粉の自家・他家の違いによる花粉管の伸び方の遅・速 に因る・・・と仮説をたてて 研究を進めたいのですが 実験方法がわかりません。

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夏姫さま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を植物の受精についての研究をなさっておられる東京大学の東山哲也先生にお願いしましたところ、以下のような回答をお寄せ下さいました。この回答がお役に立って、研究が進むことを願っています。


 ハナスベリヒユ(Portulaca oleracea;ポーチュラカ)は、イタリアのアミーキが1824年に初めて花粉管を発見した植物としても有名です。数学者でもあり顕微鏡職人でもあったアミーキが、自作の顕微鏡でハナスベリヒユの柱頭を観察していたとき、突然花粉から管が伸びだし柱頭の中に入っていったそうです。当時は受粉するとなぜ種子ができるか全くわかっていなかったので、それは興奮したことと思います。
 そんなこともあり、ハナスベリヒユに自家不和合性はないものかと思っていました。自家不和合性を調べるには、遺伝的に他家の株を手に入れないといけないですね。いくつか違う農家で育てられたと思われる株を揃えたらいいかも知れません。柱頭でのようすは、アミーキのように直接観察できるかも知れません。受粉をして花粉管が伸び出すかどうか観察します。胞子体型と呼ばれる自家不和合性では、主に柱頭で花粉管が発芽できなかったり、発芽してもすぐに伸長を停止します。配偶体型と呼ばれる自家不和合性はもうちょっと厄介です。花粉管は、主に花柱などもうちょっと先の組織で伸長を停止します。
 まずは自家受粉で、花粉管が柱頭で発芽するかどうか、胚珠に花粉管が到達するかどうか(種子形成が始まるかどうか)をしっかり調べるのが第一かと思います。受粉に伴って起こる様々な反応(閉花など)は、受粉する花粉の数も影響します。花粉の量が少ないと、受粉したと思っても十分な反応が起こらないことがあります。この点も踏まえながら、さらに研究を進めてみて下さい。

東山 哲也(東京大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-08-01
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