一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ホウセンカの吸水について

質問者:   一般   えっこママ
登録番号0950   登録日:2006-08-07
夏休みの自由研究で小学生の娘とホウセンカの吸水実験をしています。
茎を切って食紅を溶かした水に入れると、数時間で葉が赤く染まりますが、ホウセンカを植えた鉢に食紅を溶かした水をやり続けても葉は赤くなりません。
ただ、茎を切ってみたら、ピンク色の水が少し出てきました。この違いはなぜなのでしょうか。
えっこママ さん:

「ホウセンカの吸水について」のご質問は標記の登録番号で受け付け、ここに回答をお送りします。

夏休みになり、小学生のお子さんをお持ちの方々にとって「自由研究」は頭痛の種になるかもしれませんね。食紅や赤インクを使って、草本類の切り枝における水分上昇の様子を可視化して観察することはよく試される実験です。ところが鉢植えの根元に食紅溶液を与えても茎や葉が赤くならなかった、とのことですが、これには2つのことが考えられます。
第1に、色素は土壌粒子に吸着されます。鉢植えに溶液を与えるときは土壌に与えることになりますが、土壌は砂、シルト、粘土など様々の大きさの岩石粒子に腐植などの複雑な有機物が加わったもので物質吸着力の強いものです。茎の切り口から与えた食紅溶液はそのまま植物の導管へと吸収されますが、同じ濃度の溶液を土壌に与えると、色素の多くは土壌微粒子に吸着され根から吸収される実効濃度はたいへん低くなってしまいます。第2に、根からの吸収は、根の細胞膜を物質が通過しなければなりません。栄養素などの吸収は細胞膜にあるいろいろな吸収装置で行われますので、その早さは、茎の切り口から直接吸入されるよりも遅いものです。
実際には、この2つのことがおきた結果と思われます。土から丁寧に(根を傷めないように)あげた根付きのホウセンカを食紅溶液で水耕栽培したら分かりますね。また、自由研究ですから、少し違った条件を与えて見たらどうですか。たとえば、暗いところと明るいところ、大きな透明プラスチックで実験装置全体を覆ったときとそうでないときを比較する、などなど・・・・
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-08-09
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