一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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梅干と紫外線の関係

質問者:   小学生   梅干し
登録番号0968   登録日:2006-08-12
夏休みの自由研究で紫外線について調べています。
梅干を天日干しする時に、紫外線に当てた梅干と、紫外線を当てなかった梅干(UVカット付きシートを貼ったケースをかぶせました)の味が違うように感じたのですけれど、何故でしょうか?
紫外線に当てた梅干は、皮まで柔らかくなったのに、紫外線に当てなかった梅干は、皮が硬く感じました。
梅干と紫外線は、どのように関係しているのですか?
梅干し さま

 みんなの広場へのご質問有難うございました。頂いたご質問の回答を、長年にわたり、植物に対する紫外線の影響を調べて来られた東京大学名誉教授の近藤矩朗先生にお願いいたしましたところ、以下のような回答を頂くことが出来ました。きっと役に立つと思いますので、しっかり読んで下さい。回答が遅くなってしまいましたが、自由研究に間に合うと良いのですがと思っております。


(回答)
植物に紫外線が当たると、植物は新にいろいろな物(化学物質)を作るようになります。ウメの実に対する紫外線の影響については、和歌山県の果樹試験場うめ研究所で調べられています。ウメの実には抗酸化物質(様々な病気の元になる活性酸素を消去する物)が含まれていますが、太陽光の紫外線が当たらないようにすると、抗酸化物質の量が減少すること、紅色に着色しないことが報告されています。和歌山県のホームページを見てください。果樹試験場の機関誌である「果樹試験場ニュースNo.67(2006.1)」に、「ウメ「南高」果実の紅色着色と抗酸化能」という記事が載っています。この報告では、ウメの実が樹についているときの実験結果を示していますが、実を切り取った場合でも、紫外線は同じような効果をもつと考えられます。紫外線が当たっているかどうかでウメの実に含まれる物が違うので、味も違うはずです。皮が柔らかくなった理由は分かりませんが、エチレンの働きによるかもしれません。エチレンは果実を成熟させる植物ホルモンで、紫外線によって発生量が増えることが知られています。エチレンには果実の皮を柔らかくする働きがあると思われますが、ウメ干しを作るときに紫外線によってエチレンの発生が増えるかどうかはいまのところわかりません。

近藤 矩朗(東京大学名誉教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-08-28
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