一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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かいわれ大根を石鹸水と洗濯用合成洗剤で育てる

質問者:   中学生   クリーン
登録番号0977   登録日:2006-08-14
自由研究で、かいわれ大根を石鹸水と洗濯用合成洗剤水で育てて、成長の違いを調べてみました。
99gの水に石鹸を1g削り、溶かした1%の石鹸水と、同じように1gの洗濯用合成洗剤(以下洗剤)を溶かした1%の洗剤水を作り、それで、かいわれ大根を育ててみました。
その結果、植物に影響の少ないのは石鹸水であると分かったのですが、なぜ、同じ「洗剤」であるのに、同じアルカリ性であるのに、洗剤水だとかいわれ大根は育たないのですか?
また、洗剤水でもかいわれ大根が育つようにするにはどうしたら良いでしょうか?
私が1つ思いついたのは、「洗剤水の濃度を低くする」なのですが、この場合どのくらいまで、濃度を低くすれば良いのでしょうか?
3つも質問してすみません。ですが是非、教えてください。よろしくお願いします。
クリーン さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用有り難うございます。「かいわれ大根を石鹸水と洗濯用合成洗剤で育てる」についてのご質問は登録番号0977として受け付け、お答えします。

「石鹸」「洗剤」と言われるものは製品によって中身がみんな違うものです。「石鹸製品100g」の中には本当の石鹸成分(脂肪酸のナトリウム塩)がどのくらい含まれているかも製品によって違うと思います。固い石鹸、柔らかい石鹸などありますね。そのほかに泡立ちをよくする成分や芳香剤など添加物がたくさん加わっています。一方、洗濯用洗剤はほとんどが合成界面活性剤に増量剤や漂白剤、蛍光剤が加わっています。合成界面活性剤の種類もたくさんあり、製造者がどれを使うか選択しています。増量剤、漂白剤、蛍光剤等々、何を使うかを含め、製品の中身の正確な組成は分かりません。つまり、洗剤1gは石鹸1gと組成が違いますので、同じ1%溶液と言っても比較することが出来ません。その上、脂肪酸ナトリウム塩や各種の合成界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸とかドデシル硫酸ナトリウム言うものがありますが、何種類あるか分からないくらいです)では、同じ濃度でも「洗いの力」(正確な表現ではありませんが、付着している脂肪を溶かし出す力と思ってください)は違います。もちろん濃度を薄くすれば発芽、生育する濃度はあるでしょうが、漂白剤などはふつう生物には毒性を示すものもあり、製品によって違いますので「XX%くらいが適当です」とお答えすることが出来ないのです。それこそ、自由研究です、ご自分で探してください。複数の製品でいろいろな濃度をつくって実験し、発芽させる各製品の希釈度(濃度)などをきちんと比較するのも立派な自由研究になると思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-08-18
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