一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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なぜ黒くなるのか・閉じるのか

質問者:   中学生   佐和 京
登録番号0999   登録日:2006-08-21
自由研究をしていて、家の雑草などを茎のところで切断してたんですが・・・
切断して、30分もしないうちに、茎が閉じたようになって、先が黒くなって
きたんです。あと、閉じた箇所から白い綿のようなモノが出てきたり・・・
これはいったい何なんですか?
佐和 京 さん:

雑草と言ってもたくさんの種類がありますね。家の雑草には単子葉植物も双子葉植物もあり、茎を切ったときに起こる事柄は植物種によってずいぶんと違います。茎を切ったら「茎が閉じたようになって、先が黒くなって」というのはおそらく双子葉植物の草本のどれかだと思います。「茎が閉じたようになった」のは、切ったときに壊された細胞の中にあった酸化されやすい物質(フェノール性物質で、カテキンやポリフェノール類など)がポリフェノールオキシダーゼという酸化酵素の働きで酸化重合して、切り口をふさいだためです。酸化重合物は茶色から濃い褐色(黒く見えます)まで植物の種類によって違います。リンゴをきっておくと、切り口が茶色から褐色に変わるのと同じことです。植物にはたくさんのフェノール性物質が細胞の中の液胞という袋の中に含まれています。酸化酵素はこの液胞の外側にありますから、生きているときには別々の場所にあることになります。切ると細胞はこわれます。すると液胞の中のフェノール性物質と酸化酵素とが混ざりますので反応が進み、黒くなるのです。
この反応は、植物が傷を受けたときに、速やかに傷口を酸化物で覆って、病害菌が進入することを防ぐ役目を果たします。怪我をしたときに出来る「かさぶた」と同じようなものです。
「閉じた箇所から白い綿のようなモノ」は、残念ながら、見たことがありませんのでよく判りません。どんな雑草でも起こるのでしょうか。茎や葉をナイフなどで切るのではなく、引っ張って切り裂いたときには、繊維質である維管束が飛び出して白い糸のようにでることはあります。また、白い乳液を出す草がありますが、切ったらすぐ出ますし、綿状とはかなり違います。もうすこし詳しく、どんな様子なのかを教えてください。どんな雑草なのか、刃物で切ったのか、手でむしったのか、どのくらい時間がたったら出てきたのか、白い綿のようなものは繊維質なのか、泡のような濡れているものなのか、などお知らせくだされば、もう少し調べられるかもしれません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-09-09
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