質問者:
その他
杉山 万由子
登録番号0624
登録日:2006-05-01
自由研究で、「三つ葉のクローバーの中に、なぜたまに四葉のクローバーがでてくるのか」ということを調べています。みんなのひろば
四葉のクローバーと突然変異について
一生懸命調べているのですが、言葉がとても難しくて、突然変異ということが関係していることまでで、とても困っています。
下に書きます、疑問にヒントがもらえたら、とても嬉しいです。
1)突然変異をわかりやすく教えてもらえますか。
2)突然変異をおこすのは、遺伝子だそうだが、この遺伝子は、私たちが父や母に似ている、といわれる原因になるものと、同じ物なのですか。
3)もし、突然変異同士の四葉のクローバーの株同士を受粉させたら、普通のより高い確率で、たくさん四葉のクローバーがつきますか。
4)もし人間が手をだして、遺伝子というのをいじったら、組み換え食物のように、何十枚もの葉がいっぺんについたクローバーの苗などできますか。
どうか、よろしくおねがいします。
杉山さん、
いろいろ調べているんですね。まず最初に確認です。クローバーの葉は、いわゆるクローバー型の3つ1セットで、あれで一枚の葉です。あの3つに分かれている部分は、専門の言葉で小葉(しょうよう)といいます。普通のクローバーは、3小葉からなる葉を持ち、四つ葉のクローバーは、4小葉からなる葉を持つ、という言い方をします。なぜあれが1枚の葉か、というのは、葉の定義の問題となるので、もし調べて分からなかったら、また聞いてください。
さて、ご質問の四つ葉のクローバーは、2通りのやり方でできるようです。もともと葉の原基(げんき)という、葉の赤ちゃんに当たる部分は、非常にデリケートです。また3つで1セットという形を作るのは、けっこう仕組みとしては複雑で、大変なことなので、その部分が踏まれたりして傷ついたり、あるいは逆に栄養が多すぎたりすると、うっかりして4つ1セットになってしまうこともあります。野原などで時々見つかる四つ葉のクローバーは、多くが、こうしたものです。うっかりミスですね。
一方、園芸店で売られている品種のように、いつも(あるいは非常に高い確率で)四つ葉になるようなクローバーも、実際にあります。これは突然変異のため、3つ1セットにする仕組みそのものが変化してしまったものです。これは突然変異体です。
そこで突然変異とは何か、ですが、遺伝子は分かりますか。子どもが親に似るのは、親から子どもに、遺伝子が伝わるからですね。蛙の子が蛙なのも、蛙らしさを決める遺伝子が、伝わっているからです。クローバーにも、クローバーらしさを与える遺伝子がたくさんたくさん、親から子へ伝わっているわけですね。こういう風に、生き物のそれらしさが「伝わる」ことを「遺伝」といいます。遺伝子というのは、その遺伝のもととなっている物質です。私たちの体のすみずみに、その遺伝子は存在して、働いています。
この遺伝子は物質ですから、こわれることもあります。間違うこともあります。それは、たまたま間違うこともあれば、紫外線や化学物質のせいで間違うこともあります。いずれにせよ、そういう間違いが起きた場合、これを突然変異といいます。日本語としては「突然」という言葉が気になるところですが、あまり意味はないと思って結構です。要は、遺伝子が変化したことを「変異」というわけです。さて、もとの形に比べて変異した遺伝子も、遺伝子には違いありませんから、きちんと子に遺伝します。ですから、もし、突然変異でできた四つ葉のクローバーであることがはっきりしている株があるならば、その子どもはやはり四つ葉になる確率は高いと思います。
ですけれど、遺伝のことでしばしば誤解があるので、注意しておいて欲しいのは、ある遺伝子をもらったら、子どもが必ずその遺伝子の性質を出すかというと、必ずしもそうではない、ということです。遺伝は、実におもしろい仕組みでできていて、単純に子どもが親に似るとは限らないのです。例えば、元々は青い花を咲かせる植物の中から、突然変異で白い花を咲かせる株AとBがあらわれて、それぞれ、その子どもがみんな白い花を咲かせるとしましょう。白い花を咲かせる性質は遺伝していますね。こういうとき、A とBとを掛け合わせた子どもはどうなるかというと、やはり白くなることもありますが、場合によっては、子どもは青い花になることもあります。
ですから、突然変異でできた四つ葉のクローバーの株があった場合、そこから自家受粉で取った種ならば、普通の株よりは四つ葉のクローバーが現れる確率は高いと思いますが、別々の四つ葉のクローバーを掛け合わせたとしたら、どうなるか、わかりません。この辺はおもしろいところですから、是非、遺伝のことも勉強してみてください。
最後に、人間が遺伝子をいじったら、四つ葉どころかもっとたくさん小葉が着いたクローバーもできるか、というご質問については、答えはイエスです。野生でも、五つ葉、六つ葉、七つ葉といったものまで見ることがあります。遺伝子を操作すれば、百葉というのでも可能でしょう。そういうのを実際にやるかどうかは別問題ですが。
いろいろ調べているんですね。まず最初に確認です。クローバーの葉は、いわゆるクローバー型の3つ1セットで、あれで一枚の葉です。あの3つに分かれている部分は、専門の言葉で小葉(しょうよう)といいます。普通のクローバーは、3小葉からなる葉を持ち、四つ葉のクローバーは、4小葉からなる葉を持つ、という言い方をします。なぜあれが1枚の葉か、というのは、葉の定義の問題となるので、もし調べて分からなかったら、また聞いてください。
さて、ご質問の四つ葉のクローバーは、2通りのやり方でできるようです。もともと葉の原基(げんき)という、葉の赤ちゃんに当たる部分は、非常にデリケートです。また3つで1セットという形を作るのは、けっこう仕組みとしては複雑で、大変なことなので、その部分が踏まれたりして傷ついたり、あるいは逆に栄養が多すぎたりすると、うっかりして4つ1セットになってしまうこともあります。野原などで時々見つかる四つ葉のクローバーは、多くが、こうしたものです。うっかりミスですね。
一方、園芸店で売られている品種のように、いつも(あるいは非常に高い確率で)四つ葉になるようなクローバーも、実際にあります。これは突然変異のため、3つ1セットにする仕組みそのものが変化してしまったものです。これは突然変異体です。
そこで突然変異とは何か、ですが、遺伝子は分かりますか。子どもが親に似るのは、親から子どもに、遺伝子が伝わるからですね。蛙の子が蛙なのも、蛙らしさを決める遺伝子が、伝わっているからです。クローバーにも、クローバーらしさを与える遺伝子がたくさんたくさん、親から子へ伝わっているわけですね。こういう風に、生き物のそれらしさが「伝わる」ことを「遺伝」といいます。遺伝子というのは、その遺伝のもととなっている物質です。私たちの体のすみずみに、その遺伝子は存在して、働いています。
この遺伝子は物質ですから、こわれることもあります。間違うこともあります。それは、たまたま間違うこともあれば、紫外線や化学物質のせいで間違うこともあります。いずれにせよ、そういう間違いが起きた場合、これを突然変異といいます。日本語としては「突然」という言葉が気になるところですが、あまり意味はないと思って結構です。要は、遺伝子が変化したことを「変異」というわけです。さて、もとの形に比べて変異した遺伝子も、遺伝子には違いありませんから、きちんと子に遺伝します。ですから、もし、突然変異でできた四つ葉のクローバーであることがはっきりしている株があるならば、その子どもはやはり四つ葉になる確率は高いと思います。
ですけれど、遺伝のことでしばしば誤解があるので、注意しておいて欲しいのは、ある遺伝子をもらったら、子どもが必ずその遺伝子の性質を出すかというと、必ずしもそうではない、ということです。遺伝は、実におもしろい仕組みでできていて、単純に子どもが親に似るとは限らないのです。例えば、元々は青い花を咲かせる植物の中から、突然変異で白い花を咲かせる株AとBがあらわれて、それぞれ、その子どもがみんな白い花を咲かせるとしましょう。白い花を咲かせる性質は遺伝していますね。こういうとき、A とBとを掛け合わせた子どもはどうなるかというと、やはり白くなることもありますが、場合によっては、子どもは青い花になることもあります。
ですから、突然変異でできた四つ葉のクローバーの株があった場合、そこから自家受粉で取った種ならば、普通の株よりは四つ葉のクローバーが現れる確率は高いと思いますが、別々の四つ葉のクローバーを掛け合わせたとしたら、どうなるか、わかりません。この辺はおもしろいところですから、是非、遺伝のことも勉強してみてください。
最後に、人間が遺伝子をいじったら、四つ葉どころかもっとたくさん小葉が着いたクローバーもできるか、というご質問については、答えはイエスです。野生でも、五つ葉、六つ葉、七つ葉といったものまで見ることがあります。遺伝子を操作すれば、百葉というのでも可能でしょう。そういうのを実際にやるかどうかは別問題ですが。
東京大学・大学院・理学系研究科
塚谷 裕一
回答日:2006-05-08
塚谷 裕一
回答日:2006-05-08