日本植物生理学会
会長 福田裕穂

会長 福田裕穂の写真

 2016年3月19日から2年間、一般社団法人日本植物生理学会の会長をお引き受けすることになりました、東京大学大学院理学系研究科の福田裕穂です。日本植物生理学会には長い間お世話になって参りました。特に、学会年会での有意義な討論やPCPへの論文掲載により、私の研究は鍛えられてきたのだと思っています。この機会に、私の論文がどのくらいPCPに掲載されているのか調べてみたところ、50編を越える論文が掲載されていることが分かりました。これまでにPCPにrejectされた論文も多数ありますので、私が研究を始めて以来、毎年2編程度の論文をPCPに投稿し、1編以上の論文をPCPに掲載していただいているとの計算になります。このように私の研究は、PCPを発表の場として、展開してきたことがよく分かりました。恩返しの意味も込めて、一般社団法人日本植物生理学会を少しでもよくするために、微力ながら力を尽くしたいと思います。

 さて、このところ日本植物生理学会を取り巻く状況は大きく変わりつつあるように思います。大学の運営費交付金が毎年1%ずつ減らされ、それに伴い大学の植物系の研究者の数が減っています。アベノミクスにより、大学の産学連携が強調され、役に立つように見える学問が優遇され、それに伴って植物系の大学院の進学者も減っているようにみえます。一方で、中国を始めとするアジアの国の台頭はめざましく、日本の植物科学はアジアの中で埋もれてしまうという危機感もあります。実際、この2年くらいPCPの投稿者数は、中国人が日本人を上回っています。

 こうした中で、これまでの執行部は様々な取組をしてきています。町田泰則会長が始めた日本植物生理学会の一般社団法人化は、西村いくこ会長の元でほぼ完成しました。また、町田会長が断行したPCP出版に関するOxford University Pressとのプロフィットシェア−契約は、日本植物生理学会の財務基盤となっていて、このおかげで、私たちの学会が余裕を持って様々な事業を行うことができています。また、学会の国際化については、歴代の会長が腐心してきましたが、篠崎一雄会長時にGPC(Global Plant Council)にオブザーバー参加し、西村会長時にはこの正式会員と成り、ブラジルにおいて会長がGPC会議に参加するまでになりました。

 これらの財産を引き継いで、私は一般社団法人日本植物生理学会の更なる発展のために努力したいと思っています。具体的には、まずは、学会の基本である、年会の充実を図りたいと思います。また、学会及び植物生理学研究者の国際化は待ったなしの状況にあると思います。この国際化については、国際委員会を強化して対応したいと思っています。PCPの補強も重要だと思っています。Nature Plantに見られるように系列誌での囲い込み、オープンアクセス、中国の台頭などで世界の出版のあり方が大きく変わろうとしている中で、PCPをどのように世界水準の雑誌として維持・発展させていくかを編集委員と執行部が一体となって考えていきたいと思っています。その上で、学会にとっての大きな課題が、ポストドク・任期制研究者の雇用と次世代を担う若手研究者の育成です。これまでは、若手研究者の育成は大学単位で行えば良い問題でしたが、この社会の急激な変動の中で、大学単位だけで無く、学会でも取り組まなくてはいけない問題になっていると感じています。2016年4月からは、文科省の新たな若手研究者支援プログラムとして卓越研究員制度が始まります。これについては、9月の学術会議でフォーラムも企画しています。これらの動きも睨みながら、会員の皆様と一緒に、植物生理学分野のポストドク・任期制研究者の雇用と次世代を担う若手研究者育成のための努力をしていきたいと思っています。

 これらの取り組みは会員の皆様の参画なくしては、進展しません。会員の皆様におかれましては、どうぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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